中国は2025年に政策の軸足を消費の底上げに移し、公的借り入れと政府支出を拡大することを示唆した。米追加関税の恐れで輸出の先行きは脅かされており、内需のてこ入れを図る。
国営新華社通信によると、習近平指導部は2日間にわたり北京で開いた中央経済工作会議後の声明で、来年の財政赤字目標を引き上げる考えを示した。「消費を大いに押し上げること」と内需全体の刺激が最優先課題とされた。こうした内需拡大方針が示されるのは、少なくともこの10年で2度目となる。
また、社会保障を充実させるとし、医療や年金を強化する幅広い取り組みも約束した。高齢化が進んでいるほか、予期せぬ医療費を賄うために家計部門が貯蓄に励むようになる中、一連の取り組みはエコノミストによって以前から提唱されてきた。
中央経済工作会議は通常、政策の焦点や方向性を大まかに示すにとどめ、詳細をそれほど明らかにしない。国内総生産(GDP)成長率目標や政府予算など具体的な内容は、翌年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)でようやく公表される。具体的な措置は関係機関から発表される公算が大きい。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以降、中国の個人消費の伸びは工業生産に見劣りする。中国製品に対する海外需要の拡大で、国内消費の低迷による影響は和らいだが、中国からの安価な輸入品流入を懸念する国・地域からは反発を招いた。
イエレン米財務長官らは中国政府による製造業への不当な補助金が過剰生産能力につながっていると主張。国内消費への支援を強化するよう繰り返し求めてきた。
エコノミストはここ数年、消費者への現金給付案を提示しているが、当局者はこれに否定的な態度を示している。習氏は「福利主義」や「怠け者を養う」というわなに陥ってはならないと警鐘を鳴らしている。