中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)がブラジル北東部バイア州に建設中の工場で、中国人作業員163人が「奴隷のような状態」で働かされていたとして、ブラジルの検察当局などが24日までに作業員を救出し、建設現場の一部を閉鎖した。
当局や地元メディアによると、作業員はBYDと契約する企業に派遣された。パスポートを取り上げられ、賃金の6割を保証金として取られ自由が制限されていた。作業員が寝泊まりする施設の衛生状態は劣悪で、現場の安全管理にも問題があった。長時間労働などが原因の労働災害も複数発生していたという。建設現場で命令に従わなかった人や、作業が遅れた人に対して現場の責任者が暴力を振るっていたとも伝えている。
BYDは23日、「人間の尊厳を軽視する行為は容認しない」として作業員を派遣した企業との契約打ち切りを発表した。
BYDはブラジルで急速に販売台数を伸ばし、中国国外でブラジルが最大の市場になっている。工場ではEVなどを生産する予定で、来年の稼働開始を目指し建設を進めている。