1、[風もないのに太龍寺の鐘が(露口幸記、松山市、)]
昭和61年、私は体調が悪く、医者と薬と縁が切れず仕事も出来ない状態でした。
そんな時友人がお四国に誘ってくれました。道中の最初の頃は脂汗がでて引き返そうとしたこともありました。しかしいままでお大師様を拝んできたのだからお大師様がついていてくださるのだと思い直し、一生懸命拝んで周っているうちにすっかり健康になりました。
此の後、車の運転もできる . . . 本文を読む
第七〇課 知られざる傑作
フランス十九世紀の文豪、バルザック(西暦一七九九年に生れ、一八五〇年に歿す)の有名な作品の中の一つに、「知られざる傑作」というのがあります。
「一人の独身の絵画の老大家が巴里に住んでいました。十年近くもかかって大作を描き上げているという評判が巴里の画に関係する人々の間に弘がっていました。しかし老大家は、彼の新工夫の描き方を、仲間に盗まれるのを惧れて、絶対に人に . . . 本文を読む