福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

五輪九字明祕密釋・・23

2018-07-23 | 諸経
五輪九字明祕密釋・・23
(第三所得功徳無比門)
第三に所獲功徳無比門とは、眞言門に入って刹那に修するところの功徳を顯示す。一切の六度・四攝(布施・愛語・利行・同事)等の無盡なるにおいて、顕佛の智慧の相は具さに無量阿僧祇劫に住し、常恒に修行して得るところの中に眞言独り最上となす。今修するところの三密、是れ眞實なるが故に。 
(一密、二密の功徳)
問。三密相應の修行においては所得の功徳一向に然かるべし、若し行者あって唯だ眞言を誦し唯だ印契を結んで智慧無く、設ひ智慧ありとも余の二密を闕するは偏修所得功徳の分齊と如何が差別ある。
答。偏修・偏念・無智なりとも信あらば所得の功徳は顯教の無量劫を経て得るところの功徳に超過せり。若し眞言に一たび疑惑を生ぜば、無間の業となって必ず無間に堕せん。是の故に機にあらずんば篋を泉底に隠す。

(第四所作自成密行門)
第四に所作自成密行門とは、修眞言の行者、深智無しと雖も、唯だ信と相應して唯だ誦し唯だ結し、唯だ纔に字・印・形の三種の祕密身の相貎を観ずる時、亦た往昔の無量の重障、現在の無邊の重罪、及び過現所起の無數恒沙の無明妄想等有と雖も自ら此の密誦の明力・觀念力の故に、還って清淨となる。
(無相の三密)
纔に此門に入れば則ち三大僧祇を一念のa字に越え、無量の福智を三密の金剛に具し、八萬の塵勞變じて醍醐となるり、五蘊の旃陀せんだ忽ちに佛慧となる。開口發聲の眞言、滅罪し擧手動足の印契は福を増す。心の所起の妙觀は自ら生じ、意の所趣の等持即成す。貧女の穢庭に忽ちに如意幢を建て、無明の暗空に乍ちに 日月の燈を懸ぐ。四種の魔軍旗を靡びかせて面縛し、六境の猾賊かつぞく黨を率したがひて入附す。心王の國土、無爲の樂、踵を旋せて期すべし。四種法身恒沙の徳、即身に自から得たり。又た瑜伽經(金剛峯樓閣一切瑜伽瑜祇經金剛吉祥大成就品第九)の持誦眞言の功能(佛眼真言の功徳)に云はく、「一切の佛心の如く、一切の佛の化身の如く、百千倶胝不可説不可説の佛設利攞(ぶっせつりら、仏舎利)の如く、佛の眞身の如く、佛の擧念(仏の三身の心作用)の如し。所作の事業皆な一切の佛に同じ。所出の言語すなわち眞言となり、支節を擧動すれば便ち大印契となって、目に視るところの處は便ち大金剛界となり、身に觸るる所の處は便ち大印となる。」是の如くの證文は其數一にあらず。一を以て萬を知れ。願はくは有智の人、疑を生ずることなかれ。

(第五纔修一行成多門)
第五に纔修一行成多門とは彌陀の一法を修して現當の悉地を期す。
 問。眞言教の中に所有の行業其の數無量なり、金剛・胎蔵各の無量の門法有り。唯だ一部一界に入って修行する尚ほ以って無量なり、何に況はんや三部・五部・二十五部等の若干の行業、何ぞ能く修行すべけんや。然れば則はち唯だ一行一法を修して成佛し又た淨土に往生せんと欲すれば教の意趣に違背すると為さん耶。
 答。全く以って此の教の意趣に違背すべからざる也。金剛頂・大日經等に皆な此の理趣を説く。衆生の根機は種種不同なり。或は一門一尊の三昧に入って、一印一明一觀にして悉地を成ずるあり。正像末の異を論ずることなく之を修する時是れ即ち正法なり。悉地は時をきらわず信修是の時なり。

(第六上品上生現證門)
第六に上品上生現證門とは、高く大日の悲願を仰ぎ深く彌陀の本願を信ぜば、更に以って往生の異路なし。韋提(いだい、観無量壽経の頻婆沙羅王妃)・月蓋(・げつがい、維摩より不二の法門を聞く)は現身に往生を遂げ、龍樹・護法は順次往生を期す。 
問。但念密行の行人(念仏と戒律共に実践する人)、何等の心願を以てか往生の大願を遂ぐるや。
答。四種迴向是れ則ち往生の親因なり。
一には四無量の眞言を誦して此の功徳を以て一切衆生とともに四大菩薩と等同ならしめんと欲して至心發願深信廻向す。
二には佛法お滅相を見て大師の興隆佛法の大願に等同ならしめんと欲して至心發願深信廻向す。
三には法界の一切衆生をして即ち無上大菩提の果を証しめんが為に至心發願深信廻向す。四には自他所有の善根をして臨終正念にして往生極樂せしめんがために至心發願深信廻向す。
五輪九字を念誦し、兼ねて臨終の四印明を結誦して志を極樂に懸け、相續の心を止めて當に斷末摩水の時を待つべし。往生此時也。臨終の四印明とは金剛合掌・金剛縛・開心・入智、各々眞言往生の祕事也 。
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