一人立つ
最近の日本を取り巻く危険極まりない諸情勢に鑑みる時「年よりの冷や水」ながら何かいてもたってもいられぬきもちです。
・『世界で一番強いものはただ一人立つものなのだ。』とはイプセンの『民衆の敵』で衆愚政治批判で発せられている言葉のようです。
・ また「ハチドリのひとしずく」というアンデスの民話も思い出します。以下のようなものです。「森が燃えていました。森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました
しかしハチドリだけは いったりきたり口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。動物たちがそれを見て「そんなことをして いったい何になるんだ」
といって笑いますハチドリはこう答えました
『私は、私にできることをしているだけ』」
・ 旧雑譬経二三にもこれとほぼ同じ話があります。「 昔有鸚鵡。飛集他山中。山中百鳥畜獸。 轉相重愛不相殘害。鸚鵡自念。雖爾不可久 也。當歸耳便去。却後數月大山失火四面 皆然。鸚鵡遙見便入水。以羽翅取水飛上空中。以衣毛間水灑之欲滅大火。如是往
來往來。天神言。咄鸚鵡。汝何以癡。千里之火寧爲汝兩翅水滅乎。鸚鵡曰。我由知而
不滅也。我曾客是山中。山中百鳥畜獸。皆仁善悉爲兄弟。我不忍見之耳。天神感其
至意。則雨滅火也」(昔鸚鵡がある山中にいたがここは動物たちが仲良く暮らしていた。鸚鵡がここを去って数か月後にこの山が火事になった。鸚鵡は羽に水をふくませて往来して火を消そうとした。天神がなぜそのような無駄なことをするのかと聞いたら鸚鵡は此の山にかって住まわせてもらったがここは皆が仲良く暮らしていて兄弟である。この火事をみるにしのびないのでこうしている。というと感じ入った天神は雨を降らせて消火した。)というものです。
・碧巖録第二十六則には「 挙す。僧、百丈に問う、『如何なるか是れ奇特の事。』
丈云く、『独座大雄峰』。僧、礼拝す。丈、便ち打つ。」とあります。
・ これらを思い出して、日本人一人ひとり、なにより自分自身が世界に凛として一人立つ覚悟をもち行動すべきと思いました。