・密教辞典に「獅子岳快猛。文化十年~明治22・7・28。長府藩士森脇氏の出。幼時長府神上寺に出家。12歳高野山成福院衆坊に入り、龍光院で修学練行すること30年。42歳で西禅院に住し引摂院・等持院を兼務、無量寿院主にのぼる。明治12年金剛峯寺第384世座主。・・・護法教化は全国に及んだ。」
・「知命と立命: 人間学講話・安岡 正篤」 に大要以下のように獅子岳快猛師のことが書かれてありました。
「明治初年の頃、高野山に快猛という管長がいたことがあります。このひとは獅子が岳という山の庵で寂莫二十年一日の如く修行していたという人です。それを根気よくみつめていた道雅という師が突如としてこれを一山の長に抜擢したという人であります。人呼んで獅子が岳快猛という。此の人はおよそものに動じない人でありまして何事があっても驚くことがない。そこで弟子の中にいたずら者がありまして・・この人がいつも夜中に奥の院の大師の御廟にお参りされる。或る夜この青道心が(快猛師の通りすがりを待って奥の院参道で)火縄銃をぶっ放したのであります。さすがの和尚も尻餅をついて驚いたかと思いのほか、やおら下げていた閼伽桶を傍の石の上に置きおもむろにあたりを見回しながら「ああ驚いた」とつぶやいたが、また御供水をとりあげて自若として行ってしまわれた。そして帰寺されてからも何も言わなかった、ということです。」
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