十善戒和讃略解（慈雲尊者・釈雲照）、４

「帰命頂礼十善戒　十方三世の諸如来の 三十二種の妙相も この浄戒を種因とす」

ここは三世の諸仏は清らかな戒の功徳によって仏の三十二種の妙相を獲得し玉うことを明かす。ここを秘密佛乗の面から解釈すればこの三十二相は自心に本来有する仏身の相好である。従って行者は一念に各々有する本来の仏性に契証すればすなわち一念の間に成仏する。この自分自身の本来の仏性を契證するには身口意の三密の修行、すなわち秘密十善の修行によって本来有する三十二相を開発するのである。

三十二相とは長阿含經等によれば
１、足下安平立相（そくげあんぴょうりゅうそう。足裏が平ら）
2. 足下二輪相（足裏に輪形の相（千輻輪））
3. 長指相
4. 足跟広平相（そくげんこうびょうそう。かかとが広平）
5. 手足指縵網相（しゅそくしまんもうそう。指間に金膜）
6. 手足柔軟相
7. 足趺高満相
8. 伊泥延腨相（いでいえんせんそう。ふくらはぎが鹿王のように円）
9. 正立手摩膝相
10. 陰蔵相
11. 身広長等相（身長と両手を広げた長さが等しい）
12. 毛上向相（体毛の先端が上向き右巻き紺色柔軟）
13. 一一孔一毛相
14. 金色相
15. 丈光相（後光）
16. 細薄皮相（さいはくひそう。皮膚が軟滑清潔）
17. 七処隆満相（両手・両足の裏、両肩、うなじの肉が円満）
18. 両腋下隆満相
19. 上身如獅子相
20. 大直身相（広大端正）
21. 肩円満相
22. 四十歯相
23. 歯斉相（歯が美しい）
24. 牙白相（白い牙が四本ある）
25. 獅子頬相
26. 味中得上味相（食物の最上の味を味わう）
27. 大舌相
28. 梵声相
29. 真青眼相
30. 牛眼瀟睫相（ぎゅうごんしょうそう睫が長く整っていて乱れず牛王のよう）
31. 頂髻相（ちょうけいそう肉髻）
32. 白毫相（眉間に右巻きの白毛、光明を放つ）