地蔵菩薩三国霊験記 10/14巻の4/10
四、遁世者耕作止事
或遁世の僧ずいぶんに後世の心ありて念佛の行者なる者あり。時料の為に耕作なんどせさする事さすがよしなく罪深く思ひけん。夜の夢に或山の邊に火車あり、是を獅子にかく獄卒是をやる(此辺の記述意味不明)。火焔おびただし。見るにおそろしなれと云計りなし。獄卒が云様、是はかたきの有るを責むべきなりといふ。何とも返答にもおよばず恐れ入りてすぐ。其の山の峯に若き僧三人たちて云く、獄卒がいひつる事は御房はききつるかとの給ふ。承り候と答ふ。あれは耕作して多くの虫をころす者のかたきとしていましむべき者也。極楽へまいらん事をよろこばでなになげくらん。穢土の思ひをかく三返ばかり詠じ給ふと見て夢さめぬ。さて耕作のことゆめゆめ思とどまりたる由まのあたり語り侍る。地蔵の御方便にや。忝くこそをぼへ侍る。