( 風景 : 50mm F1.4 60sec ) 旧松井田町 下平より 大黒岩 と 月食 [ 二重露出 ]
( 月 : 300mm F4.5 10sec RDP )
数年前の、9月の 満月の夜の事である。 午前3時。 わたしは国道18号線沿いのコンビニに、食料を買い込むために立ち寄った。 と、突然 わたしの前に、20歳前後の男が 死相感を漂わせて現れた。
「 失恋しました! 車に乗せてください! 」 と。
彼はヤケになって、前橋から自転車に乗って出てきたらしい。 峠の手前で 交通量の多さにビビリ、軽井沢まで乗せて欲しいと言う。
車の中で 彼の失恋話しを聞き、わたしはずっと 笑いっぱなしだった。
彼は群馬県の大学にかよい、夏休みを使って自動車免許を取るため、実家の福井県に戻っていたとのこと。 そして、夏休みが終わり 群馬に帰ってみると、彼女は別の男と付き合っていたと言う。
風景写真を撮る都合があるので、直接 軽井沢の街には行けないことを伝え、和実 (わみ) 峠方面に向かった。 高岩を望む橋の上で 朝日を待った。 上着が無いと かなり寒い朝だった。
「 ぼく、日の出を見るの、生まれて 初めてですよ 」 と、彼。
「 ・・・ ( ありえね~) 」 と、わたし。
もう一か所。 別荘地を抜け、林道から 浅間山を見渡せる場所に行った。 雲海を期待したが、この日は出ていなかった。 眼下に軽井沢の街並み。 その背後に浅間山。 わたしには見慣れた風景だが、彼には新鮮に見えていたようだった。 故郷でも 思い出していたのだろうか・・・。
帰り道、再び別荘地を走った。 アスファルトにときどきデコボコがあって、乗り心地が良くなかった。
「 このデコボコって、なんであるんですかねえ? 」 と、彼。
少し間を置いて、「 嫌がらせじゃなーい 」 と、わたし。
このセリフが想像以上にウケて、彼は 笑い転げた。 彼が はじめて見せた 笑顔だった。
軽井沢の駅前で彼と別れた。 これから、草津に向かうのだと言う。 道路地図も無く、土地感も無く。 このまま彼を放り出して いいものかと不安だったが、子供でもないし、あとは自分で何とかしてもらおうと思った。
駅前の街路樹がいつになくキラキラとまぶしく見えて、久しぶりに さわやかな気分になった。。。
( 月 : 300mm F4.5 10sec RDP )
数年前の、9月の 満月の夜の事である。 午前3時。 わたしは国道18号線沿いのコンビニに、食料を買い込むために立ち寄った。 と、突然 わたしの前に、20歳前後の男が 死相感を漂わせて現れた。
「 失恋しました! 車に乗せてください! 」 と。
彼はヤケになって、前橋から自転車に乗って出てきたらしい。 峠の手前で 交通量の多さにビビリ、軽井沢まで乗せて欲しいと言う。
車の中で 彼の失恋話しを聞き、わたしはずっと 笑いっぱなしだった。
彼は群馬県の大学にかよい、夏休みを使って自動車免許を取るため、実家の福井県に戻っていたとのこと。 そして、夏休みが終わり 群馬に帰ってみると、彼女は別の男と付き合っていたと言う。
風景写真を撮る都合があるので、直接 軽井沢の街には行けないことを伝え、和実 (わみ) 峠方面に向かった。 高岩を望む橋の上で 朝日を待った。 上着が無いと かなり寒い朝だった。
「 ぼく、日の出を見るの、生まれて 初めてですよ 」 と、彼。
「 ・・・ ( ありえね~) 」 と、わたし。
もう一か所。 別荘地を抜け、林道から 浅間山を見渡せる場所に行った。 雲海を期待したが、この日は出ていなかった。 眼下に軽井沢の街並み。 その背後に浅間山。 わたしには見慣れた風景だが、彼には新鮮に見えていたようだった。 故郷でも 思い出していたのだろうか・・・。
帰り道、再び別荘地を走った。 アスファルトにときどきデコボコがあって、乗り心地が良くなかった。
「 このデコボコって、なんであるんですかねえ? 」 と、彼。
少し間を置いて、「 嫌がらせじゃなーい 」 と、わたし。
このセリフが想像以上にウケて、彼は 笑い転げた。 彼が はじめて見せた 笑顔だった。
軽井沢の駅前で彼と別れた。 これから、草津に向かうのだと言う。 道路地図も無く、土地感も無く。 このまま彼を放り出して いいものかと不安だったが、子供でもないし、あとは自分で何とかしてもらおうと思った。
駅前の街路樹がいつになくキラキラとまぶしく見えて、久しぶりに さわやかな気分になった。。。