< 2008年に掲載の フォトエッセイを 加筆・修正し、最掲載しています >
フォトエッセイ 写真家の見た風景
― 第十七話 ― 「 喜んでくれる人がいるからね 」
あるとき私は、わたらせ渓谷鉄道沿線のお宅に お邪魔していました。 雑誌 「 森のクラス会 」 ( 樹の森出版 ) の取材のお手伝いを頼まれ、ボランティアで同鉄道を支えている方々の所へ インタビューに出掛けることになりました。
< 鈴木さま > 雪は踏まれて固まると危ないので、朝早く起きて雪かきをしています。 私がもともと足が悪いので、踏み固められた雪の上を歩くのが嫌なので、できる所は全部雪かきをします。
ボランティアで雪かきとか夏の草取りとかをしていますが、みんな見ていて自分の出来ることを手伝ってくれます。 いろんな人に声をかけてもらえて、この仕事は本当に楽しいです。
< 町田さま > 人間を運ぶだけだったらバスとかの方が便利ですけど、ささやかな事かも知れませんが、鉄道を使うほうが環境にやさしいと思います。
車だと、どうしてもせわしくなり、まわりをゆっくり見る余裕がなくなります。 人とのつながりは車よりも鉄道のほうが多いので、これからも沿線に花を植えて、みんなで楽しめる沿線にしていきたいと思います。
< 星野さま > 駅を立て替える事ができました。 有志で駅の清掃を行っています。 今でこそ自動車の普及で 鉄道の乗車率は低くなっていますが、これからの高齢者社会では、ますます必要性は高まると思います。
< 細野さま > 自宅の前に駅が出来て、なんだか自分の庭をきれいにするような気持ちで 自然に始めました。 冬は三色スミレ、夏はサルビア、マリーゴールドなど。 夏は月に一回から二回 下草刈りをしなければいけないのですが、駅を花でいっぱいにしていることを 近所の方がみんな分かってくれて手伝ってくれます。
体力がなくなって 遠くまで行けなくなったお年寄りが 「 この駅に寄るだけでお花見ができるよ 」 って言ってくれたことが 本当にうれしかったです。
掲載誌 : 森のクラス会 Vol.3 樹の森出版 >
無人駅のはずなのに 駅舎はいつも清潔に保たれ、待合室には手作りの座布団が並んでいる。 今ではどこのローカル線でも見かける光景ですが、ここ、わたらせ渓谷鉄道では、国鉄 足尾線の時代から 沿線の方々によるボランティア活動が 行なわれていました。
「 喜んでくれる人がいるからね 」。 あっけらかんと言い放つ笑顔は とても生き生きしていて、利益だの損得だのを度外視した 純粋な表情を見せていました。
私がずっと 写し続けてきたこの鉄道が、実はとても温かな人たちによって支えられていることを知り、改めて胸が熱くなる想いでした。
ありがとうございました。
― 第十七話 ― 「 喜んでくれる人がいるからね 」 ― 終 ―
< 無断転載を 固くお断りします >
菜の花が映えますね…
これから だんだん暖かくなってきて
桜が咲いて
鮮やかな新緑
いい季節になってきますね♪
今年の見頃は 4月中旬くらいです。
4月からは 新しいトロッコ列車が走り出しますねー ♪