ふせちゃんのブログ

布施隆宏 公式ブログ。 鉄道写真 風景写真 ジオラマ制作など 趣味の世界を紹介します。

フォトエッセイ 「 喜んでくれる人がいるからね 」

2012-03-27 06:33:20 | 伝えたいもの

< 2008年に掲載の フォトエッセイを 加筆・修正し、最掲載しています >



             フォトエッセイ  写真家の見た風景
          ― 第十七話 ―  「 喜んでくれる人がいるからね 」


 あるとき私は、わたらせ渓谷鉄道沿線のお宅に お邪魔していました。 雑誌 「 森のクラス会 」 ( 樹の森出版 ) の取材のお手伝いを頼まれ、ボランティアで同鉄道を支えている方々の所へ インタビューに出掛けることになりました。

< 鈴木さま >  雪は踏まれて固まると危ないので、朝早く起きて雪かきをしています。 私がもともと足が悪いので、踏み固められた雪の上を歩くのが嫌なので、できる所は全部雪かきをします。
 ボランティアで雪かきとか夏の草取りとかをしていますが、みんな見ていて自分の出来ることを手伝ってくれます。 いろんな人に声をかけてもらえて、この仕事は本当に楽しいです。

< 町田さま >  人間を運ぶだけだったらバスとかの方が便利ですけど、ささやかな事かも知れませんが、鉄道を使うほうが環境にやさしいと思います。
 車だと、どうしてもせわしくなり、まわりをゆっくり見る余裕がなくなります。 人とのつながりは車よりも鉄道のほうが多いので、これからも沿線に花を植えて、みんなで楽しめる沿線にしていきたいと思います。




< 星野さま >  駅を立て替える事ができました。 有志で駅の清掃を行っています。 今でこそ自動車の普及で 鉄道の乗車率は低くなっていますが、これからの高齢者社会では、ますます必要性は高まると思います。

< 細野さま >  自宅の前に駅が出来て、なんだか自分の庭をきれいにするような気持ちで 自然に始めました。 冬は三色スミレ、夏はサルビア、マリーゴールドなど。 夏は月に一回から二回 下草刈りをしなければいけないのですが、駅を花でいっぱいにしていることを 近所の方がみんな分かってくれて手伝ってくれます。
 体力がなくなって 遠くまで行けなくなったお年寄りが 「 この駅に寄るだけでお花見ができるよ 」 って言ってくれたことが 本当にうれしかったです。

             掲載誌 : 森のクラス会 Vol.3 樹の森出版 >




 無人駅のはずなのに 駅舎はいつも清潔に保たれ、待合室には手作りの座布団が並んでいる。 今ではどこのローカル線でも見かける光景ですが、ここ、わたらせ渓谷鉄道では、国鉄 足尾線の時代から 沿線の方々によるボランティア活動が 行なわれていました。
 「 喜んでくれる人がいるからね 」。 あっけらかんと言い放つ笑顔は とても生き生きしていて、利益だの損得だのを度外視した 純粋な表情を見せていました。

 私がずっと 写し続けてきたこの鉄道が、実はとても温かな人たちによって支えられていることを知り、改めて胸が熱くなる想いでした。

 ありがとうございました。

            ― 第十七話 ―  「 喜んでくれる人がいるからね 」  ― 終 ―


< 無断転載を 固くお断りします >




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2 コメント

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Unknown (白たい)
2012-03-28 21:32:32
わ鐵の駅はそれぞれほんわかとした温もりを感じます。

菜の花が映えますね…
これから だんだん暖かくなってきて
桜が咲いて 
鮮やかな新緑
いい季節になってきますね♪
返信する
白たいさま (fusechan)
2012-03-29 06:51:53
沿線には河津桜、ソメイヨシノや花ももが咲きます。
今年の見頃は 4月中旬くらいです。

4月からは 新しいトロッコ列車が走り出しますねー ♪
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