本来ならスレを二本立てる所ながら面倒くさいので1本で。
久々に大森の名画座で名作二本を堪能、これで¥1,100は安い。
先ずは 「シャトーブリアンからの手紙」。(原題は”静かな海での黄昏”みたいな意味らしい)
タイトルはまるでラブストーリで上の絵もそれを暗示しているかの様、しかしながらまったくの硬派。
「1人のドイツ将校暗殺の報復として処刑されたギィをはじめシャトーブリアン郡の収容所にいた27名の政治犯の過酷な運命を軸に、ヒトラーの非道な命令に対し、独仏双方の軍人、役人たちがどのように振る舞い、その結果としてこの大虐殺がいかに粛々と遂行されていったかを丁寧な筆致で描き出していく。」
ともかく カメラと編集と演出が見事で、殺伐としたシーンも結構さっぱりと見せてくれる、よくある残酷さや非情さをこれでもかと訴える、そんな見え透いた演出は無い。
この映画でドイツ将校役ででていたウルリッヒ・マテスと言う役者、どこかで観たとおもったら「ヒトラー最後の12日間」 でゲッペルスを演じた人、実に旨い役者さんでなじみが薄いのが惜しい。
「リスボンに誘われて」 (NIGHT TRAIN TO LISBON:この原題をどうしてこうも甘ちょろい邦題にするのか理解に苦しむ)
主演のジェレミー・アイアンズがぐいぐいと引っ張ってくれるサスペンス風の映画。
観ていて何かに似ていると思ったら「市民ケーン」。
つまり過去の人の消息を尋ねる内に思わぬ秘密に巡り合う、といった所が良く似ている。
とかくハリウッド映画だと影の組織が未だあって主人公が危機一発になるなんて展開だけど、そんなドタバタは一切無い。
ふと手にしたリスボン行き夜行列車に飛び乗った主人公が、リスボンで何やかやあって、最後にリスボン発の帰路列車に乗りそこなうのを暗示して終わる。
まぁさわやかなラブストーリを背景にいれたサスペンス風群像劇といった所。
さてジェレミー・アイアンズといえば、ダイハード3の悪役サイモンをはじめクセのある役をやらせたらとびっきりの名優で、それほどのイケ面ではないけども妙にアップが似合う役者でもある。(この顔のアップを欲しがる監督さんが多いということかも)
それに歳老いた神父、どこかで観た顔だと思ったらクリストファー・リー、かつでのドラキュラ役者もしっかりと活躍していて「ほっ」とした。
さてこの二本、DVD鑑賞はお勧めできない。やはり映画館で観てこその価値だと思う。