またまた名画劇場での二本立て(「にっぽん泥棒物語」と「白い巨塔」)の当たりクジを引いた。
山本薩男監督の特集で、この人の映画では「戦争と人間」全話をTV放映月曜ロードショー(荻昌弘氏の解説:懐かしい)で観た覚えがある。結構社会派ドラマのイメージが強かったが、まったく裏切られることなく本格的な社会派ドラマ二本で大満足の観劇。
・にっぽん泥棒物語
三国廉太郎がすばらしい!
そして喜劇の様でいてしっかりした脚本と演出、この監督はまだまだ掘出物がありそうだ。
また、三遊亭圓生の人情噺「梅若禮(れい)三郎」が頭をよぎった。
〔内容〕
綿密な調査と完璧な仕事ぶりで有名な土蔵破りの義助。
彼はある夜、線路沿いの道で屈強な九人の男たちとすれ違う。その日の明け方に、杉山駅で列車の転覆事故が発生。無実の罪を着せられた共産党員の木村が逮捕されてしまう。
義助は、自分が証言をすれば木村を助けることができるが、そうすることにより自分が泥棒であることがばれてしまうと、思い悩む。
三国連太郎という役者は悪党や子悪党やら何やらしても上手い、今度「飢餓海峡」が掛かったら是非見ようかと思う。
・白い巨塔
ご存じの田宮次郎の当たり役、これはTVシリーズでも結構観ていたが、最終話の当たりで田宮次郎が亡くなるというイワクまでついた代物。
こども心に”シロイキョトウ”と言う言葉は当時の流行り言葉になった様な記憶がある。
そしてラストシーンは見事。
〔内容〕
浪速大学医学部の東教授が来年退官となるため、そのポスト争いが水面下で激化していた。東の教え子である財前五郎は最有力候補と言われていたが、傲慢な態度ゆえ東教授に疎まれており、様々な工作を進めていた。
ある日、同期の里見から頼まれ、財前は胃癌患者の手術を執刀する。術後に患者は苦しむが、選挙戦に忙しい財前はその原因を探ろうとせず、患者は間もなく亡くなってしまう。
財前は選挙戦を勝ち抜き晴れて教授となるが、そんな矢先、死亡した患者の遺族が財前と病院を相手取り、医療訴訟を起こした。
どちらも1965年頃の作品で、クライマックスは法廷シーンで結構ドラマチック。
おまけに助演陣が玄人集団で関係者も勿論玄人集団、そんな玄人魂がスクリーンからにじみ出ていた。
こんな映画がリアルタイムで掛かってた頃には当然理解出来なくて、今漸くわかる様になった。まだ間に合ったクチかも知れない。
(過去記事)