随分昔にNHKーBSで放映されてみたことがある「かくも長き不在」と言う映画、名画座に掛かったので早速観に行った。
暗くてテンポが悪くて盛り上がりに欠ける内容ながら主演の二人の演技力に圧倒された、そしてラストシーンはかなり鮮烈。
以前観た時に印象深い物を感じていたが映画館で観てようやく納得、カフェの女主人の鬼気迫る表情は忘れられない。
また戦争の傷跡をこんな風に描くというのも映画作家(監督なのか脚本家なのか製作者なのか)の力量だろうと思う。
〔内容〕
パリの庶民的なカフェ、女主人はテキパキと店を切り盛りして周囲の客たちからも好意的にみられていた。
ある日、店の前を通りかかった浮浪者を観て驚愕する女主人、彼は戦中ドイツ軍に捕らわれたまま行方知れずとなっていた元夫に似ていた。
やがて彼女はその浮浪者が記憶喪失であることを知り元夫と固く信じるようになり、ある日彼を自宅の夕食に誘うこととした。
夕食後に雑談をしながら懸命に記憶を取り戻そうと努力を続ける女主人、、、
この女主人の凛とした美しさと元夫の微妙な心理を映し出す表情は本当に見ごたえ充分で、これのリメークはこんな役者をそろえることが一番の障壁だろうと思う。
なおモノクロ・ワイドスクリーンの本作はデジタル・リマスターされていて充分に綺麗だった。
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