この映画はスタンリー・クレイマー製作ということもあり、先ずはハーマン・ウォークの小説版を読んだらこれが面白くて、10回以上の引っ越しを経てもハードカバーの本を長い間保管していた。
なお俳優マイケル・ケインがその芸名を映画「ケイン号の叛乱」からもらったと言うエピソードがあるそうな、そのマイケル・ケインへの興味は多分「王になろうとした男」「鷲は舞い降りた」を観たあたりからかも。
(でも10年程前に泣く泣く処分した。)
〔内容〕
第二次大戦中、軍艦としては並みの駆逐艦「ケイン号」、この船は良くも悪くもアットホームな良い雰囲気の艦だった。
そこに新任の艦長クイーグが就任し艦の規律を正すことから始めるが乗組員からは反感を買うことになる。ある時に艦内でイチゴが盗難される事件が起きる。異常な執念で追及する艦長、実は当番兵がこっそり盗み食いしたものだった。太平洋上の島での海兵隊の支援に向かうがなぜか艦長は日本軍の砲弾を恐れて作戦海域に近づこうとしない、実はこの艦長は臆病な性格だった。
段々と艦内で孤立する艦長は、嵐の中を単独航行をするはめとなり、沈没の恐怖から精神錯乱に陥った。副長は緊急避難的に艦長を解任、自ら嵐を乗りきり無事帰港するが、彼らを待っていたのは艦長解任の是非を巡る激しい軍事裁判だった……。
この映画でのハンフリー・ボガードはうなる様な名演技、この人は何をやっても良いがこれはマイ・ベスト。
それと主人公は新任の少尉なのだが(小説はこの少尉の目を通して事態が進行する)、この映画の主人公は全編を通じてハンフリー・ボガードで、前半はそれにヴァン・ジョンソン(副長)とフレッド・マクマレイが、後半になるとそれにホセ・ファーラー(軍法会議の弁護士)とE・G・マーシャル(検事)とボガードが、それぞれ絡む構成になる。
前半は駆逐艦を舞台にした海洋戦争映画、後半は軍法会議という法廷シーンと二度楽しめる構成で、この対比も見事な造りになっている。
なおフレッド・マクマレイと言う役者さんも憎まれ役を実に上手く演じる。(「アパートの鍵貸します」のやらしい上司とか)
もし名画座に掛かれば万難を排しても行きたい一作。
The Caine Mutiny (1954) ORIGINAL TRAILER
もう一度観ても損は無いと思いますよ。
老化とは恐ろしいもので、この映画を観た記憶がありそうで無さそうな、まことにおぼろげな思いしか思い出せません・・・老化とは恐ろしいものです・・・。