「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「ブロークバック・マウンテン」

2006年05月09日 18時58分16秒 | 映画
 
 アカデミー賞候補の「ブロークバック・マウンテン」、前回満席のため入れなかったので、観るのが1ヶ月遅れになってしまいました。

 男同士の同性愛の物語ですが、純粋なラブストーリーですね。

 1963年のアメリカ西部、雄大で美しいブロークバック・マウンテンで、

 イニスとジャックは羊の放牧の季節労働で出会います。

 無口で無骨なイニスと、天衣無縫でセクシーささえ感じるジャック。

 大自然の中で助け合いながら働く二人は、友情が高まって、ある夜、肉体的に結ばれます。

 映画では明確にしていませんが、ジャックは最初からバイセクシュアルだったのでしょうか。

 イニスはその時フィアンセがいましたが、ジャックによって同性愛に目覚めたのか、

 それとも今まで気付かないできたものが掘り起こされただけなのか。

 当時は同性愛は罪悪視され、同性愛者は陰惨なリンチにあって殺されるほどだったので、

 同性愛を抑圧したまま生きてきてもおかしくないでしょう。

 イニスもジャックも社会的にはそれぞれ女性と結婚し、子供ももうけ、平凡な家庭を持ちます。

 しかし自分の感情に正直なジャックは、イニスへの愛情を断つことができず、20年に渡って二人の関係を続けるのです。

 同性愛が認知される時代であれば、女性と結婚して表向きの立場を維持する必要はなく、

 二人だけの生活という道を選ぶこともできたでしょう。

 それが許されないために、不倫という形で男同士の愛を全うしなければならなかったのですね。

 そのために家庭にも亀裂が入っていくという、不幸な結果を招かざるを得ませんでした。

 同性愛といえども、異性同士の恋愛と全く変わりがありません。

 相手を恋い慕う熱情あり、すれ違いやいさかいもあり、主人公が男と女なら、普通のラブストーリーと同じなのです。

 時代が許せば、もっと平穏な人生があったのかもしれません。

 人は常に時代や社会に縛られて生きていかなければならない、そんなメッセージも感じ取ります。

 真っ青な空に、絵に描いたような白い雲が浮かび、緑の草原や岩場が広がるブロークバック・マウンテンは、

 どこまでも美しいのでした。
 
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