しばらくして、俺は一人サッカーにも飽きて玄関に戻った。
そして、校舎の外で由紀ちゃんが出て来るのを待っていた。
“ 由紀ちゃん、遅いなあ・・・。”
俺は、自分の仕事であるにも関わらず、由紀ちゃんが三階で作業をしている教室の方を見て呟いた。
校舎の二階にある職員室には、もう電気が点いていた。
昇降口の靴箱の所が、開いた玄関の扉の間から見える。
少し間を置いて、由紀ちゃんの姿が廊下を昇降口の方へ移動して来るのが、廊下の窓越しに見えた。
“ やっと来た。”
俺は、昇降口の方に眼を遣った。
“ おやっ?”
昇降口の靴箱の所を、猫ぐらいの大きさの動物が動いていた。
綺麗な金色の毛をしている。
俺は、玄関に近付いて中を覗いた。
由紀ちゃんが昇降口にやって来て、俺を見て言った。
「 あっ、お待たせ。
思ったより時間がかかったわ。
靴を履き替えて直ぐに行くね。」
由紀ちゃんは屈みこんで、下から二段目にある自分の靴箱から靴を出そうとした。
「 あれっ、靴が消えた?
おかしいわ。
今、確かに此処にあったのに・・・・・?」
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