大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道49

2008-05-02 18:55:28 | E,霧の狐道
 しばらくして、俺は一人サッカーにも飽きて玄関に戻った。
そして、校舎の外で由紀ちゃんが出て来るのを待っていた。

“ 由紀ちゃん、遅いなあ・・・。”

俺は、自分の仕事であるにも関わらず、由紀ちゃんが三階で作業をしている教室の方を見て呟いた。
 校舎の二階にある職員室には、もう電気が点いていた。
昇降口の靴箱の所が、開いた玄関の扉の間から見える。
 少し間を置いて、由紀ちゃんの姿が廊下を昇降口の方へ移動して来るのが、廊下の窓越しに見えた。

“ やっと来た。”

俺は、昇降口の方に眼を遣った。

“ おやっ?”

 昇降口の靴箱の所を、猫ぐらいの大きさの動物が動いていた。
綺麗な金色の毛をしている。
 俺は、玄関に近付いて中を覗いた。
由紀ちゃんが昇降口にやって来て、俺を見て言った。

「 あっ、お待たせ。
 思ったより時間がかかったわ。
 靴を履き替えて直ぐに行くね。」

由紀ちゃんは屈みこんで、下から二段目にある自分の靴箱から靴を出そうとした。

「 あれっ、靴が消えた?
 おかしいわ。
 今、確かに此処にあったのに・・・・・?」



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