大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道61

2008-05-27 19:56:30 | E,霧の狐道
 ぼ~としているから、何回も山下先生に当てられた。
先生の話を聞いていないから、受け答えがトンチンカンだ。
その度に、先生に怒られる。
その上、宿題をやっていなかったから、さらにボロクソに怒られた。
 授業中は、キツネが悪さをしに来ていないか、不安に駆られて、虚ろな眼で周りをキョロキョロ見回す。
後ろを向くと、俺と眼が合ったヤツが体を少し引く。
俺は、“エヘへ・・・”と照れ隠しに笑う。
すると、そいつの眼からは、“変なヤツ光線”が発射され、俺の脳髄に突き刺さる。
俺のとっている行動は、挙動不審者そのものだ。
そして、山下先生の怒鳴り声が、教室に鳴り響く。

「 神谷、キョロキョロするなっ!!!」

それでも、俺は考えた。

“ このままでは、いくらなんでもマズイぞ。”

 一日だったら、笑って済ませられるが、毎日、こんなことが起こると、クラスでの俺の立場が無い。
今でも、かなり危ない状態だ。

“ 何とかキツネを追い払わないと・・・・・。
 う~ん・・・。
 エサを撒いて、出て来たところを捕まえて説教するとか、
 しばくとか・・・。”

俺の脳裏に“ヘヘン!”と笑ったキツネの顔が浮かぶ。

“ ダメだダメだ・・・。
 すばしっこそうだし、捕まえるのは至難の技だ・・・・。
 それに、あいつは普通のキツネじゃ無さそうだし・・・・。
 困ったぞ、うぐぐぐぐぅ~~~~~。”

 俺は、必死になって考えた。
給食の時間も考えた。
考えながら、給食を食う。

“ ガリッ!!”

間違って金属のお皿をかじる。
そして、パンやオカズを、時々、床にこぼす。

“ ポロポロ・・・。”

その度に“変なヤツ光線”がピカピカ光って教室に乱反射する。

“ 参ったなぁ・・・・。”

俺はため息をついて、天井を見上げる。


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