ぼ~としているから、何回も山下先生に当てられた。
先生の話を聞いていないから、受け答えがトンチンカンだ。
その度に、先生に怒られる。
その上、宿題をやっていなかったから、さらにボロクソに怒られた。
授業中は、キツネが悪さをしに来ていないか、不安に駆られて、虚ろな眼で周りをキョロキョロ見回す。
後ろを向くと、俺と眼が合ったヤツが体を少し引く。
俺は、“エヘへ・・・”と照れ隠しに笑う。
すると、そいつの眼からは、“変なヤツ光線”が発射され、俺の脳髄に突き刺さる。
俺のとっている行動は、挙動不審者そのものだ。
そして、山下先生の怒鳴り声が、教室に鳴り響く。
「 神谷、キョロキョロするなっ!!!」
それでも、俺は考えた。
“ このままでは、いくらなんでもマズイぞ。”
一日だったら、笑って済ませられるが、毎日、こんなことが起こると、クラスでの俺の立場が無い。
今でも、かなり危ない状態だ。
“ 何とかキツネを追い払わないと・・・・・。
う~ん・・・。
エサを撒いて、出て来たところを捕まえて説教するとか、
しばくとか・・・。”
俺の脳裏に“ヘヘン!”と笑ったキツネの顔が浮かぶ。
“ ダメだダメだ・・・。
すばしっこそうだし、捕まえるのは至難の技だ・・・・。
それに、あいつは普通のキツネじゃ無さそうだし・・・・。
困ったぞ、うぐぐぐぐぅ~~~~~。”
俺は、必死になって考えた。
給食の時間も考えた。
考えながら、給食を食う。
“ ガリッ!!”
間違って金属のお皿をかじる。
そして、パンやオカズを、時々、床にこぼす。
“ ポロポロ・・・。”
その度に“変なヤツ光線”がピカピカ光って教室に乱反射する。
“ 参ったなぁ・・・・。”
俺はため息をついて、天井を見上げる。
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