俺たちは、その後、無言のまま歩き続けた。
気まずい雰囲気が漂っている。
そして、二人並んで学校の校門を通過したとき、突然、由紀ちゃんは言った。
「 先に行くっ!」
俺を残して、由紀ちゃんは校舎の方に走って行った。
“ 行っちゃった・・・。”
俺は、溜息をついて、校門から校舎を見上げた。
校舎の真ん中から空に突き出している塔の時計が、8時半に近付いている。
“ あ、時間ギリギリだ!”
俺も、時間が迫っていたので教室に急いだ。
靴箱で、上靴に履き替えていると、後ろからクラスの男子三人がやって来た。
三人は、口を尖らせて俺に言った。
「 おい、貴志、お前、俺の夢に出てくるの止めろよなぁ。」
「 俺の夢も止めろよな。」
「 俺んとこだって勝手に出るなよなぁ。」
俺は、三人に答えた。
「 何だよ、そんなの知らないよ。」
三人は、それぞれ見た夢を俺に話した。
「 さっき、学校に来る途中、話をしていたら、三人ともお前の夢
を見ているんだ。
俺は、お前に落とし穴に落とされる夢を見た。
穴の上から、落ちた俺を覗き込んで、へへんって笑うんだ。」
「 お前、俺の大事なサッカーボールをくれって言うんだ。
葉っぱのお金と交換だって言って。」
「 俺なんか、お前にカンチョーって、後ろからやられたんだぞ!」
俺は不機嫌な顔をして、三人に言った。
「 お前たちの夢のことなんか俺は責任取れないぞ。
勝手に、俺を登場させるなよな!」
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