大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道56

2008-05-17 19:25:11 | E,霧の狐道
 俺は、お揚げの件で、まだ、所々ブツブツ言う母を無視して、朝食を大急ぎで口に掻き込んだ。
そして、時間も無いので、急いで家を飛び出す。

「 行ってきまぁ~す!!」
「 うぎゃ、うご、うご、うご、・・・。」

母が何か言っているが、はっきり聞こえない。

“ ホイ、無視、無視!!”

大きな鞄をぶら下げて、元気良く玄関を出る。

“ お、いい天気!”

空は快晴だった。

“ 宿題、やったかなぁ~?”

でも、やった覚えが無い。

“ ま、いいか・・・。”

 道路を早足で歩き出す。
調子が良いと、歌も出る。

「 今日も元気だ、朝飯うまい~♪
 箸を持つ手に、チョイと、ハエ留まるゥ~♪」

くだらない歌と共に、俺は学校に急ぐ。
そして、途中、辺りを注意深くキョロキョロ見回す。

“ 今日は、キツネの奴、ついて来ていないな。”

俺は、少し安心した。
 交差点の手前で、赤信号で待っている由紀ちゃんを見つけた。

“ あっ、由紀ちゃんだ!”

俺は、近付いて行って声を掛けた。

「 おっはよっ!
 由紀ちゃん・・・!
 あれっ?」

由紀ちゃんは、俺の方を振り向きもせずに、青になった信号に従って歩き始めた。

“ おかしいな・・・?”

俺は、追いかけて行って由紀ちゃんに声を掛けた。

「 どうしたの?」



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