俺は、お揚げの件で、まだ、所々ブツブツ言う母を無視して、朝食を大急ぎで口に掻き込んだ。
そして、時間も無いので、急いで家を飛び出す。
「 行ってきまぁ~す!!」
「 うぎゃ、うご、うご、うご、・・・。」
母が何か言っているが、はっきり聞こえない。
“ ホイ、無視、無視!!”
大きな鞄をぶら下げて、元気良く玄関を出る。
“ お、いい天気!”
空は快晴だった。
“ 宿題、やったかなぁ~?”
でも、やった覚えが無い。
“ ま、いいか・・・。”
道路を早足で歩き出す。
調子が良いと、歌も出る。
「 今日も元気だ、朝飯うまい~♪
箸を持つ手に、チョイと、ハエ留まるゥ~♪」
くだらない歌と共に、俺は学校に急ぐ。
そして、途中、辺りを注意深くキョロキョロ見回す。
“ 今日は、キツネの奴、ついて来ていないな。”
俺は、少し安心した。
交差点の手前で、赤信号で待っている由紀ちゃんを見つけた。
“ あっ、由紀ちゃんだ!”
俺は、近付いて行って声を掛けた。
「 おっはよっ!
由紀ちゃん・・・!
あれっ?」
由紀ちゃんは、俺の方を振り向きもせずに、青になった信号に従って歩き始めた。
“ おかしいな・・・?”
俺は、追いかけて行って由紀ちゃんに声を掛けた。
「 どうしたの?」
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