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日々の恐怖 11月17日 墓の道

2014-11-17 19:48:24 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 11月17日 墓の道


 長野在住のHさんの話です。
その話は、Hさんが母親から聞いた話です。
 母親が小学生の頃、徒歩で1時間ほど歩いて学校に通っていた。
その途上に、1つ山を通る。
何の謂れもない普通の山だ。
 ある日、いつものように帰宅途中だった母は、その山で見慣れない道を発見した。
普段から同じところを通っているのに、

“ こんな道なんか、あったっけ?”

などと思いながら、気分でその道を通った。
 その道を歩いていると、不思議と幸せな気分に包まれた。
一本道がずっと続き、しばらくすると出口が見えた。
その先には見知った光景が広がっていた。
 ふと、背後が気になり振り返ってみると、なぜ今まで気づかなかったのかという程の無数の墓が並んでいる。
恐らく放置された墓で、草がぼうぼうに生えていた。
 急に怖くなった母は走って家に帰り、それを祖母に報告したが、

「 そんなところ、近所にある訳ないでしょ。」

と一蹴された。
 更には、普段1時間かけて帰ってくるはずが5分で帰ってきてしまったようで、

「 勝手に早退したな!」

と怒られてしまった。
 そこで、母も意地になって祖母を引っ張って、もときた道を探すも、当然ある訳もなく、

「 嘘をつくな!」

と、なおさら怒られて家に戻った。
 翌日、念のために先日入ったはずの山道を探してみても見つからず、結局その幸せな気分に浸れる墓場は、一度見たきりだったそうだ。
母親はHさんに、そんな昔話を懐かしそうに語ったという。









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