日々の恐怖 11月10日 電球
今住んでいるマンションは交通の便も良く、居心地は結構いいので機嫌良く住んではいる。
しかし、借りた当初から、部屋に一人、玄関に一人、借主で無い方が同居している気がする。
入居してから気が付いたが、そんなものいたら下見の段階で他のマンション探していたとは思う。
その二人のどちらも、もう人というよりは霞の様な状態で動くこともなく、意思もないのか、ただそこにいるだけのようで、害は無いと思う。
でも、玄関にいる方は若干まだ人の形をしている感じがして、何もしてはこないのだが少しだけ困ったことが起こってしまった。
それに気付いたのは、引っ越して2日程で玄関の電球が切れたことが発端だったのだけれど、
“ 古い電球のままだったのか?”
と新しい電球を買ってきて取り替えても、また1日程で切れてしまう。
次は、
“ ワット数、間違えたか?”
と思い確認するが、その点は問題ないのに替えても替えても3日ももってくれない。
これ以上はお手上げなので、大家さんに電話して事情を話すと、すぐに業者の人を手配してくれた。
ところが、
「 点検しても異常は見当たらない。」
と言われ、新しい電球を取り付けて、
「 これで駄目なら、また連絡を下さい。」
と言って帰ってしまった。
結局、業者さんが取り付けてくれた電球も次の日には切れていた。
そうなるともう原因は、目の前にいるかろうじて人の形を保っている存在だろうなと思った。
“ ああ、明るいの嫌いなんだな・・・・。”
と諦めて、もう玄関の電球は切れたまま放置することにした。
遊びに来た友人達にも、
「 玄関の電気切れてるよ。」
とよく突っ込まれるが、こればっかりは説明しようがないので、壊れてるとだけ伝えていた。
2年程した頃、いつの間にか玄関にいた方がいなくなっていることに気が付いた。
もうその頃は、すぐに気付けないくらい存在が薄くなっていたんだと思う。
“ お・・・!?”
と思って、さっそく電球を取り替えてみると、1週間どころか半年たっても切れる気配がない。
“ やっぱり、幽霊らしく明るいの苦手な方もいるんだなぁ・・・・。”
と、改めて思いました。
ちなみに、玄関にいた人よりもさらに存在感が薄かったはずの部屋にいる方は、今も絶賛同居中です。
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