日々の恐怖 9月15日 防犯カメラ(5)
数分経った頃、
「 どうしましょうか・・・?」
と警備員が聞いてきました。
「 とりあえず今日は、もう何かあったらまた通報する事にして、警備室からなるべく出ないようにしてください。
カメラにまたあの女性が映っても無視するようにお願いします。」
警察としてもそれ以上何も出来ません。
あの女性が何かの事件の加害者か被害者だったにしても、居ない者を捕まえる、あるいは保護する事はできません。
警備員は弱々しく、
「 分かりました。」
とだけ答えると、
「 ただ一人になるのは嫌なので、誰かに来てもらって朝まで一緒にいてもらいたいと思います。
それまでここに居てもらえませんか?」
と電話の受話器を取りながら聞いてきました。
断る理由もなくまた、警備員の気持ちも理解出来たので先輩は了承しました。
警備員が電話しておよそ30分程で別の警備員が到着しました。
ある程度の経緯を先輩が話して、カメラの映像を見せると、
「 心霊とか信じない方なんですが、これは異常だということは分かります。
朝まで一緒にいますよ。」
と理解してくれたようでした。
「 では自分はこれで。
何も出来なくて申し訳ない。」
先輩が頭を下げると、二人の警備員が同じように頭を下げました。
「 いえいえ、こちらこそ。」
「 来ていただいてありがとうございました。」
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ