日々の恐怖 9月17日 防犯カメラ(6)
そうして先輩が警備室を出てマンションの玄関を出ようとした時に、入り口を向いている防犯カメラが眼に入ります。
“ 今自分が出て行こうとしているのを、あの二人は警備室で見ているのだろうか・・?”
と一瞬考え、思わずカメラのレンズを見つめていました。
“ ・・・・!?”
その時先輩は見たそうです。
“ レンズに反射して映った自分の後ろに、あの血塗れの女性がいる・・・。”
先輩は驚きながらも、カメラを通して見ているかもしれない警備員が、この様子を見て不安になってはいけない、と冷静に判断して、そのままカメラを見ずに大急ぎで帰ったそうです。
そして同僚のもとに帰った後に、この出来事を話したというわけです。
「 で、それを更に同僚から俺が聞いたわけ。
“警官にはそういう出来事にも遭遇する事があるから覚悟はしておけ”的な意味合いで。」
「 なるほど。」
「 でもな高い所にある防犯カメラのレンズって良く見えたよな、って俺ツッコんだわけ。」
「 ふむ。」
「 そしたら、同僚が“同じ事先輩に言ったんだけどさ、先輩はこう言ったよ。”て続けたのよ。」
「 うん。」
「 “むしろ高い所にあるからハッキリ見えなくて済んだよ、女性の顔がね。”って。」
「 なにそれ、怖いじゃね~か、ばかやろう。」
「 お前が聞きたいって言ったんじゃね~か。
“多分顔がハッキリ見えていたら、正気じゃなくなったかもしれない”って帰ってきて思ったんだって。」
以上が警官である友人から聞いた話です。
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