日々の恐怖 9月4日 識別 (4)
統計処理を施すと、興味深い事実が浮かび上がってきた。
撮影場所によって、その推定値に大きなバラつきが見られたのだ。
読み込ませた映像の中でも、例えば小学校で撮影されたカメラの余命推測平均は106だった。
これは、全ログの平均値46に比べて遥かに大きい数値である。
逆にそれを最初に下回ったのはサービスエリアで撮影された映像で、その平均値は38だった。
車に乗っている奴は早く死ぬ、とでも言いたいのだろうか。
以下平均値はどんどんと減少していき、余命平均ワースト2位は県内のある老人ホーム。
平均値は15。
最下位は、お察しの通り、病院だった。
なんと平均値4!
いやちょっと待て、病院とはいえ、いくらなんでも余命平均値4年というのはおかしい。
部活で怪我をして運ばれてきたような、まだまだ先の長い子供だって大勢いるはずだ。
何かエラーが発生したのかもしれない、と生ログを参照した。
そして思わず声を上げてしまった。
”ID:1234 VALUE:34(←この場合推定余命を示す)”といった書式でズラーっと書いてあるんだが、34とか50みたいな普通の数に混じって、幾つも存在してはならない数が記載されていたのだ。
負の数である。
念のため他の場所のログもザッと確認してみると、マイナス付きの物は何処でも2、3個は発見されたが、病院のログほどではなかった。
文字通りに解釈するのであれば、余命マイナス3年というのは、死んでから3年経過ということになる。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ