大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 9月22日 新宿(3)

2020-09-22 17:04:31 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月22日 新宿(3)




 彼が座っていたカウンター端の席は、洋ちゃんが片付けた訳でもないのに、グラスもドリンクのセットも綺麗に無くなっている。
口ぱくぱくなる俺、水を一杯貰って飲み干す。
 呼吸を整え、気を取り直して、

「 ねえ、吉田さんって誰なの?」

と聞くと、

「 元々はうちのオーナーの関係の人だったんだけど、別れ話が拗れてここのトイレで吊っちゃってさ。
雨の日は、たま~に出てくるのよ。
暇な日限定なんだけど・・・。」
「 2年通ってたけど、そんな事知らんかったわ。」
「 そうね、まあ1年に1度とかしか出ないし。
でも、うち出るって言ってたでしょ?
あの人がそう。」
「 いつの間に消えたの?」
「 あんたがトイレ行ったときに、吉田さんもあんたについてッて、んで帰ってきたのはあんた一人だったから、その時じゃない?」
「 ええ・・・、俺一緒にトイレに入ったんだ・・・。
あの半畳一間みたいな空間に・・・。」

朝4時を回ったけど、梅雨空のせいかドアの摺りガラスの外はまだ薄暗い。

「 あと1時間くらい、いていい?
明るくなってから帰りたい・・・・。」

と、雨宿りがてら空が明るくなるのを待って帰りました。
 もの凄く腑に落ちないというか、不可解だったのは、

“ 幽霊って、グラスやアイスバケツも小道具として出せるの・・・・?”

と思ったことです。
 いやさらに不可解だったのは、洋ちゃんが俺らの肩に向かって振っていたのは、青いキャップの味塩だったと言うこと。

” あれで果たして、祓えたのだろうか・・・・?”

取り合えず、今のところ、うちに吉田さんは来ていない。
ちょっと脚色入ったけど、本当にあった不可解な話です。







童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------