一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「あとがき」での謝辞について

2007-03-11 | よしなしごと

小熊英二(慶應大学総合政策学部助教授)の随筆「一大学教師の履歴」から。

小熊氏は学者になる以前は出版社で編集者をしていて、数百万・数十万部単位で発行する本や雑誌で採算を取っている大手取次業者にとっては数千部しか売れない学術書は「ハナクソ同然」としか思われていない一方で、一部の良心的な書店員がなんとか良い本を売ろうとけなげな努力をしているという実情をふまえたうえでの厳しい感想であります。

指導教官や研究会の仲間、編集者などへの献辞を本の後書きにずらすらと書き並べてくる著者の原稿をもらうと、「おまえはこの文章を印刷工が植字し、校正者が誤植を直し、営業部員が売り込んで、書店員が店頭に並べてくれ、この後書きを印刷するために木を切ってパルプを作っているということを一度でも考えたことがあるのか?どうせ出版社といえば編集者くらいしか会ったことがないから、編集者にだけ謝辞を書くんだろう。指導教官や仲間への献辞なら、印刷して数千部もばらまく必要なんかない。献本するとき自分で手紙でも書けばいいじゃないか」と思った。


確かにあとがきでの謝辞って「お約束」になっている感がありますよね。
昔の学術書などにはあまりなかったようにも思います。この辺も欧米のスタイルをまねたところから入っているのでしょうか。

コメント
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