一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「公務員制度改革」は何のための改革か?

2007-03-19 | まつりごと

公務員再就職「人材バンク」で管理、首相が法案化指示
(2007年3月16日(金)21:30 読売新聞)

渡辺行政改革相は16日、政府の経済財政諮問会議で、省庁による天下りのあっせんを全面的に禁止し、代わりに新たな「人材バンク」で再就職あっせんを一元管理することを柱とする公務員制度改革の政府原案を提示した。  
これを受け、安倍首相は同案に沿って国家公務員法改正案の策定を進めるよう指示した。  
原案は、各省庁の幹部の公募について、2007年度にポストの1割に各省や民間からの公募枠を設け、「今後5年間で更なる目標を定めて拡大する」と明記した。このほか、<1>能力と業績評価に基づく人事の確立<2>勤務成績不良の公務員に対する分限処分等の厳格な対処<3>専門スタッフ職の創設などによる定年引き上げ――などを盛り込んだ。

そして

公務員改革、中川幹事長「役所忠誠の閣僚は想定外に」
(2007年3月17日(土)20:53 読売新聞)

自民党の中川幹事長は17日、北京市内のホテルで同行記者団と懇談し、公務員制度改革について、「閣僚は安倍首相の意向に従って役所を説得し、政府案にしていくべきだ。万が一、首相より、役所に忠誠を尽くす閣僚がいれば、想定外のことになる」と述べた。

とまあ、こんな流れになっているのですが、内閣というのは行政府の長で、行政が有効に機能するためには公務員制度はいかにあるべきか、という視点が必要で、食客三千人ではないですが人材を確保するにはある程度の無駄は必要な部分があると思います。

見直すべきは「天下り」という行為ではなく、「無駄な天下り」であって、それはすなわち天下り先の政府系特殊法人の存在自体の方をまず見直すべきなのではないでしょうか。
天下りを全廃してしまうと、結果的に現在特殊法人のトップに座っている人をコントロールできなくなってしまうという副作用が出るのではないか、と知人の官僚は懸念していましたが、確かにそういう問題もあるかもしれません(日本の民間企業の社長は自分が決めるか不祥事でもない限り交代するきっかけがないと批判されるのと同じですね)。

まず天下り廃絶ありき、というのは小泉首相が得意とした「敵作り」の手法の下手な真似のような感じもします。


また、「能力と業績評価に基づく人事の確立」ですが、そもそも中央官庁の局長級以上の人事は内閣(官房長官と3人の官房副長官で構成される人事検討会議)の承認事項になっています。
小泉内閣の時は、内閣の方針に合わない官僚の更迭が何回かあったそうです(郵政民営化における総務省とか)が、安倍内閣ではほとんど官庁の原案が通っているとか。

余談ですが、官僚が人事案を持っていくと、塩崎官房長官などは「女性や民間人の登用」などと(ちょいとピンボケなことを)言って困るそうです。


まずは内閣自らが高級官僚人事において率先して「能力と業績評価に基づく人事の確立」の範を示すべきなんじゃないでしょうか。


それから、「2007年度にポストの1割に各省や民間からの公募枠を設け、「今後5年間で更なる目標を定めて拡大する」ですが、一般論として人事に関する話は(圧倒的な供給過剰の状況にでもない限り)あらかじめ制度的な枠をはめてしまうのは得策でないと思うのですが・・・

コメント
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