日本を代表する硬派ブロガーで研究者・ジャーナリストでもある著者が、1日最大3万ページビュー、1万5000人のユーザー数を誇る人気ブログ「池田信夫ブログ」の2年半にわたる記事を大幅に加筆・修正してまとめた。インターネットの草創期からウェブの「進化」を取材してきた経験から、ウェブによる「革命」はこれからが本番であり、資本主義を大きく変えるものになると予想する。既存の大企業、マスメディアの没落と、集権型から分権型への転換がキーワードだ。新聞、テレビ、官僚組織の病理、ネット右翼現象、2ちゃんねるの匿名問題などにも鋭くメスを入れる。
というのがAmazonにある紹介文です。
実は私はWeb0.2の世界にいるのでこのブログ自体知らなかったのですが・・・
それはさておき、多分ブログをチェックしている人には今更、という内容なのかもしれませんが、門外漢には非常に面白い本でした。
著者はNHK、シンクタンク研究員などを経て現在大学教授と評論活動をしています。
そういう経歴からか、1953年生まれという世代的なものか、最近新書などでよくある「Webなんたら」系の切り口一点豪華主義本と違い、理論的背景や制度論などをからめて立体的に論じているので理解が立体的になります。
ブログからは大幅に加筆したようですが、それにしてもこの手の濃い内容は本のほうが読みやすいという僕のような旧型の人間がいる以上、ブログを本にしただけの安易な商売ともいえません。
表題は、ムーアの法則により情報処理をするコンピューターや通信インフラの性能の向上と価格の低下が将来的にはサーバーにデータを集中しない分散型ネットワーク(P2Pというらしい、という程度の理解なので間違ってるかもしれません)に向かい、そこでは「データや情報をコントロールする」ことによるビジネスは成り立田なくなるのではないか、という大きな方向性を、物的資本を独占している資本家がそれを梃子に労働者を搾取していて、そして「物質的生産のかなたにある」「自由の国」を目標としたマルクスの考えをアナロジーにしてつけたものだと思います(このへんにマルクスが出てくるところが、また個人的には嬉しいですね。)。
その文脈で、今まで権益の独占のうえに収益を上げていたTV局やNTTのビジネスモデルの限界と、それらが権益を握っていたために日本のコンテンツビジネスが遅れたことを批判的に語っています。
この辺は元NHKのディレクターだけあって、リアリティがあります。
(民放の番組はなぜつまらないバラエティばかりになったのか、というあたりなど、言われてみればもっともなのですが実も蓋もなく分析してくれています。)
先端、でない人にこそお勧めです。
![]() |