汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

みやすけの詩 窓辺の憂鬱

2009年09月29日 | 初期中期の詩
湿り切った思い出の中で
鮮やかな苦い記憶の胞子が
空中を艶やかに光を反射して漂い
ダストの光沢が
閉め切った部屋の中で煌めいて
箪笥の上のアルバムのように
忘れ去られた感情が
居場所を失った子供の哀しい瞳に似て
この部屋は輝かしい寂しさに包まれている
今はもう何もない過去の陰影を仄かに映し出す
幾重にも重なった想いが
机に溜まった埃のように
寂しく幻影を映し出し
音もない、温もりも消えうせた
今の世界の中で
鋭敏な刃物だけが輝いている
蝋燭の焔は消えて
光が奪われた部屋
窓際にうずくまるようにして息絶えた虫
蓆に跪き
瞬きの一瞬に光る涙は頬を伝い
沈黙は更なる憂鬱を招き入れる

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蓆→むしろ (竹や、わらなどで編んだ敷き物の事)
跪く→ひざまずく
瞬き→まばたき
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