国立長寿医療研究センターと島津製作所は、アルツハイマー病の原因となる物質を血液中から90%程度の精度で検出する技術を確立した。島津製作所の田中耕一シニアフェローがノーベル賞を受賞した質量分析技術で調べる。脳内に原因物質が異常に蓄積されているか否かが早い段階で分かり、治療薬や予防薬開発につながる。
新手法は採血後の血液から、質量がわずかに違う複数のアミロイドβ関連のペプチド(たんぱく断片)を調べる。それぞれの割合からアミロイドβが脳内に異常に蓄積しているかが分かる。
日本とオーストラリアの60歳~90歳の患者232人の血液を分析した。発症の有無も含め、アミロイドベータの蓄積があるかどうかなどで分析した。陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳内を調べた場合と比べ、新手法の検出精度は90%程度と高かった。また、発症していない人の約3割でアミロイドベータの蓄積が確認された。
アルツハイマー病の根本的な治療薬や予防薬はまだ開発されていない。田中シニアフェローは「治療薬や予防薬の臨床試験をする際、分析サービスを提供できれば」と言う。
◆アルツハイマー病
アルツハイマー病は、脳の神経細胞が減少、脳の中で記憶を司る「海馬」を中心に脳全体が萎縮、脳に「老人斑」というシミが広がる、脳の神経細胞に糸くず状の「神経原線維変化」が見つかる などの変化が現れる。
脳の中にアミロイドβと呼ばれるタンパク質がたまり出すことが原因の一つとされる。アミロイドβが脳全体に蓄積することで健全な神経細胞を変化・脱落させて、脳の働きを低下させ、脳萎縮を進行させると言われる。蓄積は、発症する20~30年前からである。
アルツハイマー病を発症すると、記憶障害の症状が見られ、進行にともなって場所や時間などの認識ができなくなる「見当識障害」の症状が現れる。身体的機能も低下して動きが不自由になったりする。進行の度合いには個人差があり、わずか数年で寝たきりになってしまう人もいるが、10年経っても自立して穏やかに暮らしている人もいる。
アルツハイマー病の根本治療はまだなく、抗認知症薬で病気の進行を遅らせることができる。
◆アルツハイマー病患者数
WHOの統計によれば、2010年のアルツハイマー病患者は約3560万人で、2030年には約6570万人、2050年には1億1540万人に増える見込みだ。
日本における、65歳以上の認知症患者数は462万人(2012年)で、6~7割がアルツハイマー病と見られている。
◆アミロイドベータ(アミロイドβ)
これまでアミロイドβの蓄積を調べるには、高額な費用がかかるPET(ポジトロン断層法、陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術)や、脊髄に針を刺して採取した髄液を分析する。
新手法は採血後の血液から、質量がわずかに違う複数のアミロイドβ関連のペプチド(たんぱく断片)を調べる。それぞれの割合からアミロイドβが脳内に異常に蓄積しているかが分かる。
日本とオーストラリアの60歳~90歳の患者232人の血液を分析した。発症の有無も含め、アミロイドベータの蓄積があるかどうかなどで分析した。陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳内を調べた場合と比べ、新手法の検出精度は90%程度と高かった。また、発症していない人の約3割でアミロイドベータの蓄積が確認された。
アルツハイマー病の根本的な治療薬や予防薬はまだ開発されていない。田中シニアフェローは「治療薬や予防薬の臨床試験をする際、分析サービスを提供できれば」と言う。
◆アルツハイマー病
アルツハイマー病は、脳の神経細胞が減少、脳の中で記憶を司る「海馬」を中心に脳全体が萎縮、脳に「老人斑」というシミが広がる、脳の神経細胞に糸くず状の「神経原線維変化」が見つかる などの変化が現れる。
脳の中にアミロイドβと呼ばれるタンパク質がたまり出すことが原因の一つとされる。アミロイドβが脳全体に蓄積することで健全な神経細胞を変化・脱落させて、脳の働きを低下させ、脳萎縮を進行させると言われる。蓄積は、発症する20~30年前からである。
アルツハイマー病を発症すると、記憶障害の症状が見られ、進行にともなって場所や時間などの認識ができなくなる「見当識障害」の症状が現れる。身体的機能も低下して動きが不自由になったりする。進行の度合いには個人差があり、わずか数年で寝たきりになってしまう人もいるが、10年経っても自立して穏やかに暮らしている人もいる。
アルツハイマー病の根本治療はまだなく、抗認知症薬で病気の進行を遅らせることができる。
◆アルツハイマー病患者数
WHOの統計によれば、2010年のアルツハイマー病患者は約3560万人で、2030年には約6570万人、2050年には1億1540万人に増える見込みだ。
日本における、65歳以上の認知症患者数は462万人(2012年)で、6~7割がアルツハイマー病と見られている。
◆アミロイドベータ(アミロイドβ)
これまでアミロイドβの蓄積を調べるには、高額な費用がかかるPET(ポジトロン断層法、陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術)や、脊髄に針を刺して採取した髄液を分析する。