回顧と展望

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エジプト/クーデタの裏側で

2013年07月11日 17時02分58秒 | 日記

エジプトでモルシ大統領が軍部のクーデタにより失脚してからすでに一週間が経過したが、クーデタ後、エジプトではガソリンの供給や生活必需品が出回り始めたことに加え、反モルシのデモが吹き荒れた最中に忽然と姿を消した警察官がいつの間にか街頭に戻ってきて、治安が回復してきている。さらに、サウジや湾岸諸国からの支援も120億ドルに達するという話で、エジプトがただちに政治的・経済的に破たんすることはなさそうだという。

クーデタ後にこのような現象が発生したという事は、軍部およびムバラク政権時の官僚・政商たちがムルシ追い落としのために意図的かつ組織的に経済および治安を混乱させた、とみるのが妥当だろう。アラブの春⇒ムバラク政権の崩壊というストーリーのなかで、ムバラクを人身御供にして官僚と政商たちは息をひそめて生き残り、そして天敵ムルシ打倒のために再び軍部と結託して、結局首尾よく既得権を回復した、というわけだ。ムバラク追放で民主化、という免罪符も手に入れたし、原理主義に近いイスラム同胞団を代表するムルシを大統領として無能と民衆を扇動して排除してしまえば、立派に化粧した「民主的」政権が維持出来るわけだ。

しかし、ムバラク時代の官僚や政商が表に再び出てくるという事は腐敗しきったムバラク時代のエジプトがほとんど無傷で蘇ることになる。タハリール広場と言う劇場でデモを繰り返し、刹那の鬱憤を晴らしているエジプト民衆なるものは実に滑稽な猿芝居を演じていることになる。

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