中国では定刻での飛行便はまず存在しない。それどころか急速な旅客数の増加に伴い、遅発や延着は日常的になっていて状況は悪化の一途を辿っている。北京首都空港の定時出発率は一日の総出発便数22,000のうちの14%というから深刻だ。そのため、地上、機上を問わず遅延に対する不満が原因で航空会社社員に対する暴力行為も増大している。テレグラフ紙が掲載したビデオにある地上職員への暴行や設備の破壊など、もはや空港は無法地帯と言うしかない。そもそも軍による膨大な飛行禁止区域のあるところに一挙に便数が増大したことに加え、元来サービス精神あるいはもてなしの精神の欠如しているところではこのような飛行場暴力は必然の結果と言える。
そういえば、日本でも鉄道の駅における駅員や車掌に対する中高年の暴力事案が増大している。大半が酒に酔った者の仕業だか、基本には長引く不況により溜まった不満が一気に爆発、自分で制御できなくなっていること、さらには最近の社会における非寛容な風潮も鬱屈の原因になっていて、些細なことから暴力に及ぶ。東日本大震災の際のあの忍耐力と気配りはどこへ行ってしまったのか。ただ、大災害にでもなれば、件の酔客もおとなしくなるのだろうが。
こんな時思い出すのは、辛抱強く待つことの技術を習得しているイギリス人の思考回路だ。やはりどの国でも寛恕の精神が必要。