回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

オペラ座の怪人

2020年04月21日 09時57分30秒 | 日記

件のロンドンの友人から、アンドリュー・ロイド・ウェバーが米ユニバーサルの協力の下、新型コロナウイルス感染拡大を受けて外出自粛中のミュージカルファンに向けて開設したYouTubeチャンネル「The Shows Must Go On!」に2011年にロイヤル・アルバート・ホールで行われた「オペラ座の怪人25周年記念公演」の全編が無料で視聴できる(すでに終了)というので日曜の午後はこれに費やした。総勢200名を超えるキャストとオーケストラによるかつてない壮大かつ豪華絢爛なステージ。終了後のアンドリュー・ロイド・ウェバーの舞台挨拶に加え、特別ゲストとして25年前にクリスチィーヌ役のオリジナルキャストにして彼の元妻のサラ・ブライトマンと、歴代の怪人役たち4人が勢ぞろいしての歌唱は圧巻だった。もちろん、サラ・ブライトマンに往年の美声を期待することは無理というものだったが、それでも現旧の怪人(エリック)役達に決して引けを取らない貫禄はさすがだった。

都市封鎖で今は閉館している劇場に、再び観客は戻ってくるのか。カーテンコールでのスタンディングオベーションを見ているとSocial Distancing(社会距離拡大戦略?)がこれだけ叫ばれた後で あのような熱気は戻ってくるのか、この病気が収まったらまた、劇場に足を運びたいと思うようになるのか、今はまだわからない。今回の48時間限定無料公開は第一には医療関係者への寄付を募るものだが、当然、すこしでも観客を引き留めておこうとする切迫した意図もあるだろう。

このミュージカルの、白い仮面のみのポスターはあまりにも有名だ。当然、Gaston Leroux原作の小説(1910年刊)の翻訳や簡約版も数限りなく発刊されている。そのうち、1993年に99ペンスでロンドンで購入した、(オリヴァー・ツイストの作者である)チャールズ・ディケンズの曾孫娘にあたるドリス・ディケンズによる簡約版ペーパーバックスの素朴な表紙を。

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都市封鎖の風景

2020年04月20日 10時45分09秒 | 日記

ロンドン・サウスケンジントンのフラットに住む長年の友人とSkypeでビデオ交信してみた。この友人は先月15日以降、一切外出していないという。日用品、食料品はすべて宅配業者に依頼し、しかも配達はコンシェルジェに受け取らせるなど、徹底した感染防止に努めている。運動はフラットの屋上での散歩程度(彼の家はペントハウスで屋上にも出られる)。いつもはひっきりなしに西の上空を飛行するヒースロー発着の飛行機はなくなりすっかり静かになった。また、車の往来も激減して騒音も排気ガスも少なくなって、空気がきれいになった。そのせいか、ベランダに来る鳥の数が随分と増えたという。外出は固く制限されていて、家族、友人といえども会うことは禁止されているので、実際、彼は郊外に住む娘さんとも会えない。家から出れば警官に行き先や目的を聴取され、警官が納得しないと家に戻されるし、もし従わなければ逮捕されて罰金刑に処せられることになる。罰金は一回目は60ポンド、2回目は120ポンド、それ以降繰り返せば倍額となる(3回目は240ポンド、4回目は480ポンドか)。人が集まることには厳しい制限がある。当初は(コロナウイルスによるものか)死因にかかわらず葬式への参列は出来なかったが、最近になって5人までの会葬者の葬儀であれば認められるようになった。外出の際には常に2メートル以上の間隔を保つことが要請されている。公園へは一日1回それもグループで行くことを禁じられている。(イギリスに比べ、相変わらず家族づれを中心に公園への人出が絶えない日本とは緊張感が大きく異なる。この日本の風景が感染者のオーバーシュートにつながらないことを・・・)。

市民は午後8時にバルコニーや庭先に出て医療関係者への激励のために、拍手を送るというのが慣例になっている。フランスでは、同じようなことが行われているが拍手の後、楽器演奏などのパフォーマンスが披露されたりクイズあてなどの娯楽で、無聊を慰めるのが流行っていると。また、仕事がなくなった航空会社のCAがマスクつくりや医療関係の補助をしている。感染者、死者の増加数が少し安定してきた兆しがあり、ピークアウトしたのでは、との見方もあるが、希望的(楽観的)観測かも知れない。政治家はそれぞれに感染拡大の責任をめぐって相手を非難しているのは世界どこでも同じ。市内の雰囲気は一見戒厳令下のようでもあるが、市民はとにかく退屈、うんざりした、というもの。それを紛らわすためにジョークであふれかえっているが、やはり、トランプを揶揄したものが一番多い。

感染者数、死者数について、実際にはさらに多いのではないかといううわさがあるのも各国共通。また、今回の休業補償の乱発によって、各国の財政状態は極度に悪化し、破綻の可能性もあるし、これによる借入の返済には何世代もかかるだろう。コロナウイルスのみならず国家財政崩壊による国民生活破綻のリスクも孕んだものになるとの危惧も広がっている。

彼にとって、バルコニーに遊びに来る鳥を眺めるというささやかなバードウオッチングが一つの息抜きになっているという。鳥たちといえば澄んだ大空を気持ちよく飛べるようになり、この都市封鎖で一番得をしているのかもしれない。

まだ先が見えない中、国会議事堂の正面にある、パーラメントスクエアガーデンに鎮座するチャーチルの像がなんとなく頼もしく見えてくる(ような気がする)。

 

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過去 現在 未来

2020年04月18日 05時47分55秒 | 日記

昨日のエリザベス女王の写真を掲載した新聞、英国の代表的な高級紙といえば、その政治的主張(保守)を支持するか、あるいは、オーナーが(毀誉褒貶の激しい)ルパート・マードックという世界的な新聞王であることを是とするかは別として「The Times(日本語ではタイムズ)」があげられるだろう。世界広しといえども、一般名詞だけで通じる新聞はこれ以外にない(The New York Timesのように地名が入るのが一般的)。いかにも7つの海を支配していた大英帝国を代表する新聞ということで、英国新聞界のエリートそのものといっていい。1785年1月1日に創刊されたから、今年で235年になる。たまたまロンドン勤務時代の1985年、The Timesが創刊200周年記念の特別号を発行した。この記念号を35年ぶりに改めて読んでみると、The Timesの編集長とはそりが合わなかったチャーチルだが、彼の名言にあるとおり、、

過去を遠くまで振り返ることができれば、未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう
The farther backward you can look, the farther forward you are likely to see

ということに納得させられる。

イギリスの新聞の特徴であるが、特に週末の土曜日版および日曜だけ発行される The Sunday Times は、分厚い別冊子がついていて、週末いっぱい楽しむことが出来た。

そして、創刊号の写しが。最初はThe Daily Universal Registerとして発行されその3年後、The Timesに名称変更された。

コロナウイルスとの戦いは世界大戦にも匹敵するといわれ始めている。第二次世界大戦を戦い抜き、イギリスを満身創痍になりながらも勝利に導いたチャーチルの次の言葉に勇気づけられる人も多いだろう。

悲観主義者はあらゆる機会の中に困難を見出す。楽観主義者はあらゆる困難の中に機会を見出す。

A pessimist sees the difficulty in every opportunity; an optimist sees the opportunity in every difficulty.

 

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Her Majesty

2020年04月17日 08時17分13秒 | 日記

コロナウイルスとの闘いを続ける国民を励ますテレビ演説のエリザベス女王の姿を観ていたら、女王がこれまでの長い治世で乗り越えてきた多くの国難や王室の危機が思い出された。まだ第二次世界大戦の余燼くすぶる1952年2月、父ジョージ6世の突然の崩御により25歳で即位してからというもの、東西冷戦、イギリス病とまで言われた経済危機、フォークランド戦争、IRAのテロ、湾岸戦争、ダイアナ妃への対応をめぐる国民からの王室非難、そしてBREXITと。それは国の運命や国家分裂の危機から救う最後の砦、あるいは統合の象徴として現代における立憲君主制の一つのモデルを体現してきた歴史でもある。最近の出来事では孫であるヘンリー王子の王室離脱の際に見せた彼女の毅然とした決断があげられるだろう。母としては、4人の子供のうち3人までが離婚を経験するという不安定な家族においても抜群の安定感をしめしてきた。

1953年6月2日、ウエストミンスター寺院での戴冠式を終えてバッキンガム宮殿に戻る王室専用馬車の中のエリザベス女王。あれから67年の歳月が流れた。The Timesに掲載された当日の写真の、女王の決意に満ちた顔と王冠の輝き。

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うちで過ごそう

2020年04月16日 07時41分05秒 | 日記

コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外出せず人に接触しないようにしようといってもすべてがうまくいくとは限らない。

この病気による死者が1万人を超え、首相と皇太子も感染した英国の深刻さは日本の比ではない。ロンドンは都市封鎖の措置により、食料品と医薬品購入以外では、一日1度の運動を除いて外出を禁じられていて終日自宅に閉じこもっていなければいけない。庭のある家に住んでいればともかく、アパート暮らしが普通のロンドン市民のストレスは極めて高くなっている。そして、、今後どれほど長く続くかわからない、という状態。その結果、家族や同居人との間での緊張が高まり、DVや離婚が急増していて社会問題になりつつある。英国の慈善団体で、人間関係についての調査、助言を行っている「Relate」(Aidan Jones会長)によれば、自己隔離や在宅勤務になって一日中家にいるという環境に変わった場合の対処方法および人間関係の危機を乗り切るには、家族などの同居人や友人との良好な人間関係を保つことが極めて重要だ、としている。同会は人間関係で緊張を起こさないあるいは起きた時に解消するために重要なこととして以下の点を挙げている。言われてみれば当たり前の、生活の知恵のようなものだ。もちろん、日本でもこのまま当てはまるとはいえないが何かの参考にはなるだろう。

1、他人が自分と同じように感じると思い込まない 

人も自分と同じと思い込むことによって、それが合致しないときには怒りや不満の原因になる。今回のウイルスについては誰もが経験したことの無いものであり、自分と同じように考えていると思い込むことは禁物

2、意思疎通、会話を欠かさない 

自分の感じていることや不安を率直に表現し、伝えることが最善

3、困難な問題に直面していることを受け入れる

今まで経験したことの無い状況であり。性急な解決を期待しないこと、気持ちの中に時間の余裕を持つことが必要。

4、家庭内のほかの大きな問題は当面棚上げ

今のような状況で、さらに深刻な問題を議論することは、良い結果をもたらさない。しばらくは保留にしておく

5、一日の中で仕事の時間と家庭の時間を峻別する

在宅勤務ではともすれば一日中仕事をすることになりかねずストレスが嵩じる、また、逆に、家庭の時間のみになるのも同様

6、お互いに優しさ、いたわりの気持ちを持つ

こういう時期だからこそ他人に対する思いやりが必要で、もし、気持ちが昂るようなことがあれば、5秒呼吸法(5秒間息を吸い込み、5秒間息を止め、5秒間かけて息を吐きだす)も有効

臨時の国民向けスピーチとして在位中で4度目となるエリザベス女王のテレビ演説。超高齢の元首が直接国民に語り掛け、鼓舞する姿にも事態の深刻さが。

このスピーチがウインザー城で撮影された際、感染防止のため、部屋には女王と防護服を着用したカメラマンの二人のみで他の技術職員は別室でモニターを見ていたという。

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