缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

缶詰は塩分の多い食品じゃない

2025-02-09 13:21:38 | 缶詰考察

昨夜のNHKニュースを観ていて驚いた。

能登半島地震の被災地で、高血圧と診断された人の割合が前年よりも増えたという内容だった。

その原因として
「自宅ではないところに住むことになってストレスを抱えやすくなったり、缶詰など塩分の多い食生活になったりした人もいる...」
と解説していたのだ。

缶詰は塩分の多い食品じゃない。

例えばサバのみそ煮缶だと、100gあたりの食塩相当量は1.3g〜2.3g程度。内容総量150gのサバみそ煮缶なら、缶汁まで含めても、多くて約3.5gである。
味の濃いイメージがあるやきとり缶(たれ味・75g缶)でも、1缶あたりの食塩相当量は1.1gしかない。



一方、厚生労働省が推奨する1日あたりの塩分摂取量の上限は、成人男性で7.5g未満。同女性は6.5g未満だ。

もしサバみそ煮缶を朝・昼・晩と1缶ずつ(缶汁ごと)食べ続けているのなら、1日当たりの食塩相当量は10g前後になる。

それでは塩分の摂りすぎになるが、被災地ではそんな食べ方をしているのだろうか? 

どうも気になって「被災地 高血圧 缶詰」というキーワードで検索してみた。

すると、NHKが2021年に放送した〈先どり きょうの健康 「災害から命を守るために“高血圧”」〉という番組のサイトがヒットした。

その見出し文には

「実は災害時、高血圧を悪化させる原因のひとつが非常食。カップめんや缶詰などには塩分が多く含まれており、血圧上昇につながりやすい」

と書いてあったのだ。これが間違いの始まりかもしれない。

カップめんと缶詰の塩分量はまったく違う。

もっともメジャーな「カップヌードル」は、1食あたりの食塩相当量が4.7g。食塩相当量が多めのサバみそ煮缶(1缶あたり汁ごと)と比べて、約1.3倍多いのである。
(でも美味しいから汁まで飲んでしまうが...)

缶詰博士として言いたい。缶詰は塩分の多い食品ではありませんぞ!

 

 

 


復活の日。明治屋のウインナーソーセージ缶

2025-02-04 08:35:05 | 

2022年でいったん製造を終了していた、明治屋〈ウインナーソーセージ〉缶。

それが24年12月に復活し、再販売された。その経緯には素晴らしいドラマがあるのだが、それはいずれ書くことにして。

もともと、このソーセージ缶はタダモノじゃない。

初めてその製造方法を聞いたときには、思わず

「それ、本物のソーセージと同じじゃん!」

と叫んでしまったくらいだ。

 

本物とは、どういうことか?

そのヒントはソーセージの断面にある。よーく見ていただきたい。

断面が盛り上がっているのが、お分かりだろうか?

 

どーして断面が盛り上がっているのか?

それは皮に羊腸(羊の腸)を使っているからだ。

伝統的なソーセージは、ひき肉を羊腸に詰めて作られる。

しかし昨今、羊の一大生産地だった豪州などで飼育頭数が減っている。

干ばつや牧草地の減少などが原因と言われているが、ともあれ。

羊が減ったために腸の調達も難しくなった。

そこで、調達しやすく価格もお安い人工ケーシング(コラーゲンやセルロースなどで出来ている)を使った商品も台頭している。

そんな世情でも、明治屋は羊腸にこだわっているわけだ。

 

このウインナーソーセージ缶の製法は、ざっと以下のようになる。

1. 味付けしたひき肉を羊腸に詰めてくん製

2. カットしてから缶に詰める

3. フタを閉めて密封。加熱殺菌して缶成

 

最後の加熱工程で、ひき肉は膨張する。しかし羊腸はくん製したために引き締まっており、膨らまない。

そこでひき肉はやむを得ず、カットした断面からはみ出るように盛り上がるのだ。

断面の盛り上がりは正統派の証。ぜひ憶えておいてほしいのであります。