缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

缶詰のある風景『二つのこころのある川』

2004-10-14 17:53:36 | 連載もの 缶詰のある風景
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 ニックは空腹だった。こんなに空腹になったのは今まで経験したことがなかったほどだ。彼はポークアンドビーンズとスパゲッティの缶詰を開け、中身をすっかりフライパンに投入した。「誰に頼まれたわけでもなく運んできたんだから、僕にはこいつらを食べる資格があるんだ」ニックは独り言を言った。その声は暗くしずもっていく木々のあいだで奇妙に聞こえた。彼は再び口を開くことはなかった。
~中略~ニックは火の上に掛けたグリルにフライパンを乗せた。彼はますます空腹だった。豆とスパゲッティが温まった。ニックはそれらをかき回し、よく混ぜた。小さな泡つぶが表面に浮かんできた。そこからたまらない匂いがした。ニックはケチャップの瓶を取り出しておいて、パンを4枚切った。小さな泡つぶは今やどんどん沸き上がってきていた。ニックは火の脇に座り、グリルからフライパンを下ろした。
 アーネスト・ヘミングウェイ『二つのこころのある川』訳/ハヤト

 我が缶詰さんたちは様々な作品に登場している。そして実に良い脇役をこなしているのだ。このニック・アダムズシリーズにもいくつかいいシーンがある。
 この缶詰さんは赤羽橋近くのスーパーマーケットで発見したもの。FRANCO-AMERICAN®とあるがこれはあの缶詰大手企業キャンベルスープカンパニーのもの。さすがはキャンベルさん、探せばまだまだ面白いものが出てきそうである。
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 かくのごとし。ただし原文にあるポークアンドビーンズの方は割愛させていただいた。
 これは缶詰であるから加熱調理の必要はない。少しでも美味く食するために熱するのである。そいつをアルミの皿にあけ(原文は錫だが)、スプーンで苦労しながらすくって食べる。う~むむ、味は予想通りのシロモノ。とにかく甘い。これまで経験した通り、米国産の缶詰さんは糖分が多すぎるようだ。
 しかし今回は味がどうこう言うのはよそう。あくまでも現在の私はニック・アダムズであり、それは多くの批評家が指摘しているように、少年時代のヘミングウェイ自身なのである。だから突然独り言を言って、少し意味不明に落ち込んで、それから“なんてこった、これは美味いぞ!”と叫ばねばならぬ。ケチャップを振りかけてスライスしたパンとともにがっついて平らげるのだ。イマジンイマジン!

内容量:418g
原材料名:トマトピューレ、スパゲッティ(小麦粉、卵白)、異性化液糖、チーズ、食塩、ぶどう糖、香辛料、バター、脱脂乳、クエン酸
原産国:米国