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ソフトバンクがライバルauを粉砕した魔法の言葉

2016年06月09日 05時44分15秒 | お役立ち情報
孫正義の遺伝子を受け継ぐ精鋭部隊は、どんな言葉や態度で相手の信頼を勝ち取るのか。営業先の証言を集めた。


「一時はソフトバンクに勝ち目はない、と思っていたのですが……」

極楽湯の管理部副部長、鈴木正守氏がこう感嘆の声を上げる。

極楽湯は、北海道から宮崎県まで国内37店舗と中国・上海にスーパー銭湯を展開する業界最大手企業である。各店の店長・店長代理はスタッフの指導育成や店内の巡回はもちろん、取引先との交渉や、近隣法人への宴会プランの営業活動などの業務も担っている。


ソフトバンクより絶対に安くします


そんな特性を持つ同社は、2005年から翌年にかけて、店長らに支給する携帯電話をauからソフトバンクに切り替えた。当時の極楽湯は10店規模で、拡大路線に乗り出したところ。価格の安さなどコスト面を評価しての導入だったという。

同時期に決裁業務の電子化も行った。紙の申請書を提出して決裁者が捺印していた従来の方式をやめて、データ上の決裁に踏み切ったのだ。

08年にはソフトバンクが取り扱うiPhoneを導入。これにより、たとえば当日中に決定しなければならない「店舗の折り込みチラシ」のデザイン校正を、外出先からもPDFで確認できるなど、業務のスピード感はさらに増した。

そんな長年の関係の潮流が変わったのが、2013年のこと。

「あれは2月でしたが、全社的にコピー機のリース契約などを見直す際、通信回線や端末もその対象に含めることになったのです」(鈴木氏)

通信に関しては、ソフトバンクのほか取引実績のあるauの代理店に声をかけ、平等な条件で2社から提案を受け付けることになった。といっても、主眼は経費の削減であり、現実には「au側が安い値段を出してきたらそれで決まり」という空気が極楽湯社内にはあったという。

それを察してか、au代理店の営業姿勢は明確だった。

「現在契約している御社の請求書を全部見せてください。絶対にそれよりも安くしますから」といったアプローチを鈴木氏は受けた。

大ざっぱといえば大ざっぱだが、客の立場からすると安くなることに異存はない。しかも、極楽湯では新川隆丈社長まで「auは安くしてくれそうだ。検討してみよう」と言い出していた。こうなると、大幅な値引きをしないかぎりソフトバンクに勝ち目はない。鈴木氏を含め、関係者の誰もがそう思った。

だが、ソフトバンクの担当者だけは別だった。不利を承知で、あの手この手を繰り出してきた。

たとえば、極楽湯の要望に合わせて契約内容を細かく見直しては、新たな提案を投げてくる。それだけなら身勝手な営業マンと言われそうだが、「まったく押しつけがましさがないんですよ」と鈴木氏は感心する。魔法の言葉がある。
「このご提案は、御社のためになりますか?」

提案の最後に、遠慮がちにこう尋ねるのだ。

「よく『売り込みたい機能』『売り込みたいサービス』を前面に押し出して、こちらの都合など構わずに営業してくる会社がありますね。でもソフトバンクの場合、提案内容が独りよがりではなく、あくまでも当社の視点から考えてくれたことが印象的でした」

鈴木氏が「いや、うちのためにはなりませんね」と答えたらどうするのか。

「2~3日のうちに提案内容を書き換えて、再提示してくるのです。そのスピード感にも打たれました。余計な機能を落としたり、それによって価格を変えたりということです」

そのために、担当者の訪問頻度は週2回ほどに激増し、電話やメールでの連絡も増えた。

あるとき「いま忙しいから就業時間中は無理。会えるとすれば夜の9時過ぎになります」と鈴木氏が伝えたところ、「結構です。会っていただける時間にうかがいます」と担当者は応じる。別の日、鈴木氏が深夜に電話しても担当者はつかまった。

「最後まであきらめないし、ここぞというときの臨戦態勢には、いい意味のベンチャー精神を感じました」(鈴木氏)


誰も引用しない「孫の言葉」


一方のauは、代理店経由のためか、鈴木氏が疑問点を問いただしても「本社に問い合わせます」と答えるのが精いっぱい。このこともソフトバンクには幸いした。

両社の最終提案が出揃ったあと、11月に新川社長の前で鈴木氏がプレゼンを行い、14年からの取引企業を決定した。結果は、ソフトバンクの逆転勝利。

「提案の中身は本当に僅差でした。決め手は、お客である我々の立場に立って契約内容を見直してくれたという部分です。そこは本当に素晴らしいと思いました」(鈴木氏)

ソフトバンクとの付き合いのなかで、印象的だったことがあると鈴木氏は言う。

「社員の方から『孫社長がこう言っていました』という話は、一度も聞いたことがないんです」

カリスマ社長が率いる会社では「当社の××が」という文脈で話をしがちだ。それが一切ないという。

孫氏の語録の一つに「新入社員の発言でも、それが正しいことならば会議を通る体質にしておかないと会社は成長できない」というものがある。だとすれば「社長の言葉が絶対」などということはありえない。社風は徹底しているのである。

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