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日本の経常収支「赤字定着」の危機、円安スパイラル阻止は政治の最重要課題

2022年05月08日 07時19分19秒 | 行政

 日本の経常収支が赤字になった。ウクライナ情勢で原油をはじめとする資源価格が高騰しているためだ。

 しかし、日本以上に原油輸入に頼る韓国は経常収支の黒字を続けている。これは、両国の貿易構造に違いがあるからだ。

 日本は海外生産が増える中、貿易黒字が縮小し経常収支赤字が続く可能性がある。

 円安が進み、経常収支の赤字が継続すると、円安スパイラルに落ち込む危険がある。

 本来は、この問題が参議院選に向けての最重要の政治課題として議論されなければならない。

ウクライナ危機で経常収支赤字

一時的ではなく継続する危険

 日本の経常収支は、2021年12月、22年1月と連続して赤字になった(図表1参照)。

 原油などエネルギー価格の高騰で輸入が増えたため、貿易収支が赤字になったからだ。

 経常収支が過去最大の赤字額を記録した14年1月には、原油価格が1バレル100ドルを超える水準にまで高騰した。

 今回は、ロシアのウクライナ侵攻と対ロ制裁の影響で、原油や天然ガスの価格がそのときより激しく高騰している。さらに、小麦などの価格も上昇している。

 2月には貿易収支赤字が縮小したため、経常収支は黒字になった。しかし、貿易収支の今後の動向によっては、経常収支が再び赤字になる危険がある。

 そして、経常収支の赤字が一時的なものでなく、継続する危険がある。

 これまでのように対外投資の所得収支の黒字で補うことができるのかどうか。

 日本が国際収支面で問題を抱えることになるとは、多くの人が思っていなかった。その認識がいま変わろうとしている。

韓国では原油輸入は多くても

経常収支は黒字を続ける

 原油価格上昇の影響はどの国も受けている。

 では、韓国の国際収支はどうなっているか?

 韓国でも貿易収支は2021年12月と22年1月に赤字になった。1月の赤字額はとくに大きかった。

 しかし、経常収支は黒字を維持した。

 韓国の原油輸入額は世界第4位で、日本とほぼ同額だが、少し多い。GDP(国内総生産)に対する比率でいえば、日本の2倍を超える。

 そうであっても経常収支がマイナスにならないのは、工業製品などの輸出が伸び貿易構造が日本より強いからだ。

 図表2に見るように、原油価格が高騰した14年でも貿易収支がプラスを維持している。

日本の貿易構造の変化は 

20年前から始まっていた

 日本の貿易収支は、1990年代の中頃までは増え続けていた。しかし、それ以降は増加しなくなった。そして、2005年頃からは減り始めた。

 08、09年のリーマンショック時と、12~14年の原油価格高騰期には、貿易収支の減少が顕著になった(図表2を参照)。

 貿易収支が傾向的に減ってきたのは、輸入が増えたからだ。

 とりわけ、工業製品の輸入が増えた。テレビなどの家庭電化製品でそれが顕著に見られる。

 家電製品の輸出と輸入の推移を見ると、1999年に、輸入は輸出の1.6倍だったが、021年にはこの比率が7.5倍になっている(図表3)。

 日本はもはや家電製品の輸出国とはいえない。輸入国というべきだ。このように輸出入の構造が大きく変わった。

 また、海外生産の比率が高まったこともある。自動車の場合には、国内生産台数はいまや世界生産台数の3分の1程度でしかない。すると、円安になっても輸出は増えず、むしろ円ベースでの輸入が増えるだけの結果になる。

 それに対して、韓国の貿易収支の黒字は、2007年以降、図表2に見るように顕著に増加している。

経常収支赤字がなぜ問題なのか?

所得収支で補えるのか

 しばしば、「経常収支が赤字とは、日本が世界で稼げなくなったことを意味するので問題だ」といわれることがある。

 しかし、国際収支が企業の損益と同じものだと考えてこういっているのであれば、その考えは間違っている。

 経常収支が赤字とは、企業が損失を続けるのとは違って、それ自体が悪いことではない。しかも、恒常的に続けることも不可能ではない。

 事実、アメリカの経常収支は恒常的に赤字だ。

 これは、アメリカ人が自国で生産した以上に消費できることを意味しており、アメリカ人にとって望ましいことだ。

 しかし、経常収支の赤字を継続できるのは、それを金融収支でファイナンスできるからだ。

 アメリカが他国に頼んで借金をするのでなく、世界中の国が進んでアメリカに投資をしている。だから、経常収支の赤字が問題を起こさないのである。

 これが可能なのは、アメリカ経済の将来について世界が信頼しているからだ。

 それができなければ、経常赤字を続けることはできない。

 残念ながら、日本経済の将来について、世界はアメリカに対するような信頼をしてくれない。だから、経常収支の赤字を継続するのは難しい。

 これは韓国の場合も同じだ。だから、韓国の国民も政策当局も、経常収支について極めて神経質だ。

 韓国はアジア通貨危機の際に、ウォン安によって国が破綻する瀬戸際に立たされた。その経験が民族的な記憶として残っているのだ。

 それに対して、日本には経常収支を気にする人はこれまでほとんどいなかった。貿易収支が赤字になっても、巨額の対外純資産が生み出す所得収支がそれを補って余りあると考えられていたのだ。

 しかし、この認識に疑問が生じてきたことになる。

円安スパイラルが始まる危険

参院選で金融政策転換は論点になるか?

 問題なのは円安スパイラルが始まる危険だ。

 経常収支が赤字になると、ドルを買う必要があるので、ドル高円安になる。

 赤字が将来も続くと予想されると、将来さらに円安が進むことが予想される。すると、現在、円を売っておくことが利益を生むので、円が売られる。このために円安がさらに進んでしまう。

 原油価格の異常な高騰はいつかは収まるだろう。

 しかし、円安スパイラルは続いて、とめどもない円安に落ち込む危険がある。

 そうなれば日本国内の物価高騰を止められなくなる。

 他方で、円安になったところで、かつてほど輸出が増えて貿易収支が改善するわけではない。

 国民が疲弊するだけのことだ。

 前回の本コラム「『円安政策』からの一刻も早い脱却を、参院選の争点は物価に」(2022年4月21付)で指摘したように、物価高騰問題は参院選の最大の争点になるだろう。

 しかし、問題はそこでどのようなことが議論されるかだ。

 政府が取りまとめた物価高への緊急経済対策は、石油元売りへの補助金によるガソリン価格の抑制など断片的な対症療法の寄せ集めにすぎず、問題の根源に迫っていない。

 いま本当に必要とされるものは、円安政策からの脱却であり金融政策の転換だ。

 具体的には、金利上昇を容認することによって、円安スパイラルを阻止することだ。

 いまの状況を政治的に見れば、本来は野党にとっての絶好のチャンスだ。

 政府の政策が必要とされる方向とはまったく逆のものになっていることを批判し、国民生活を守るために自国通貨の安定化を求めれば、支持を拡大できるだろう。

 ところが、野党はそのような問題提起をしていない。国民の立場から最も望まれている政策を打ち出していないのだ。

 日本政治の根本的問題は、消費者と労働者の利益を守る政治勢力が存在しないことだ。

 これこそが日本の最大の悲劇だ。

(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)

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「学校へ行きたくない」と子どもから言われたら、親はどうすればよいのか

2022年05月06日 06時53分52秒 | 教育

ある日突然、「学校へ行きたくない」と親に相談する子どもはめずらしくありません。文科省の調査によれば、2020年度に不登校した小中学生は約19万人。少子化で子どもの数が減るなか、8年連続で不登校は増え続けて過去最多を更新しました。

しかしそれも氷山の一角です。不登校にはカウントされないものの、学校で苦しんでいたり、教室に入れなかったりする子どもも多いからです。そうした子どもたちは「隠れ不登校」とも呼ばれており、日本財団の調査では中学生の1割、推計33万人いると言われています。

増加の背景には、コロナ禍で生活環境が変わったこと、いじめの低年齢化などが指摘されています。どんな子どもでも、どんな家庭でも、不登校は起きます。子どもから「行きたくない」と言われたときの対応は、親のみならず、先生や祖父母など、子どもが周囲にいる大人たちには知ってほしいことです。

そこで、今回はもしものときに備えて、状況に応じた対応のしかたをお伝えしたいと思います。

「行きたくない」と言われたら

やることは、ただひとつです。

「わかった」と言って、その日は休ませてあげてください。

逆に子どもを追い詰めてしまうNGワードは「ようすを見てみよう」や「明日だけ、がんばってみよう」です。「行きたくない」と子どもが伝えるときは限界まで我慢したときです。崖から飛び降りるような気持ちであり、命に関わるSOSなのです。親は「休み癖がつくかも」と心配しますが、休ませる勇気が必要です。

多くの子どもの場合、「わかった」と言われれば安心して数日間は休み、また学校へ通い始めます。「疲れたら休もう」と思えれば、心に余裕をもって通えるからです。逆に「休みたい」と言ったタイミングで無理をさせると、子どもは追い詰められてしまいます。

数日間の休みのあいだはどうすればよいのか。

「かぜをひいた時と同じように」を心がけてください。家の中で遊んだり、友だちと会うのは問題ありません。勉強は自主的にやる分はさせてもいいですが、勉強を強いると休みが長引きます。ゆっくり休めんでリフレッシュするのが大事だからです。

「行きたくない」と言われる前に親ができること

「行きたくない」と子どもが言う前に、その兆候に気づきたい人は多いはずです。

ところが、それは意外と難しいのです。まず子ども自身は、自分のストレスに気づきづらいです。ただし言葉にはしなくても「体からSOS」が出ます。

体から出てくるSOSとは、体調不良、食欲不振、不眠、情緒不安など。こうした兆候は、たくさんの種類がありますが、違和感に気づくのは、本人よりも親のほうです。親は生まれたときからその子を見ており、異変に気がつきやすいのです。気になったタイミングで、子どもに声を掛けたり、最近、起きたことをふり返って考えてみましょう。

さらに、ふだんの生活から「雑談」ができてれば、なおよいです。話を聞いてもらうことは、子どもにとって一番の発散になります。

ところが、子どもの話を聞く時間を充分につくれる親は少ないはずです。つねに家事や仕事に追われているでしょう。

そこで「10分間だけ」と時間を決める。あるいは料理中や就寝前だけ、子どもの話を否定せずに聞く、というのも一つの手です。ふだんから会話を重ねていると、さらに異変に気がつきやすくなります。

なお聞き役もストレスがたまりますから、子どもと離れる時間や趣味の時間など「親の息抜き」も大切にしてください。

行き渋りや不登校が始まったら

1週間、あるいは1カ月休んでも子どもが学校へ行きたがらない場合、親や周囲の大人は「不登校」を覚悟してください。不登校を覚悟したら、まずやるべきことを3つ挙げます。

1つめは、親の不安を子どもにぶつけないこと。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、ほとんどの親がやってしまう失敗です。子どもの将来を思えば心配するのも当然ですが、子どもだって心配なのです。親から不安をぶつけられたら、子どもは追い詰められてしまいます。

では親の不安はどうすればいいのか。あるお母さんは、心配や不満が募ったとき、ひとまず車の中でひとりになり、めいっぱい泣いたり、歌ったりするそうです。いったん気持ちを吐き出すのは大切です。次の手立てが冷静に見えてくるからです。

2つめは、不登校の仲間と出会うこと。

子どもが不登校になったら、カウンセラー、精神科医、フリースクールなど、一人でもよいので不登校に詳しい第三者とつながってください。そして可能ならば、学校に通っていない子どもの親とも知り合ってください。子どもが家にいる生活はどうしているのか、学校への連絡はどうすべきか。先輩のお母さんたちはよく知っています。こうした「生きた情報の交換」が子どももと親を支えます。

3つめは、不登校の「その後」を知ること。

不登校が心配なのは「不登校からのその先」が見えないからです。知識のない人は「不登校になったら引きこもってしまう」と言うでしょう。統計上、そのような事実はありません。不登校からひきこもりになる人もいますが、「不登校はかならずひきこもる」というのは誤りです。

不登校のその後は多様です。会社員、公務員、大工、八百屋、主婦などなど、さまざまな職種についています。進学校や国立大学に進む人もいれば、早いうちから社会人になった人もいます。不登校経験者が当時、何を考えていたのか。親にどうしてほしかったのか。そういった生の声は、本やインターネット上からも知れます。「不登校その後」を知ると余裕をもって対応できます。

なお『不登校新聞』では、「不登校その後」の体験談を多く揃えていますし、不登校の仲間である読者どうしのコミュニティもあります。もしよければご参考ください。

(この記事は2022年03月14日の不登校新聞掲載記事「『「学校へ行きたくない」と子どもから言われたら、親はどうすればよいのか』」より転載しました)

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今年の韓国の1人当たりGDPが日本を追い抜く?=韓国ネット「こんな日が来るとは…」

2022年05月03日 08時03分24秒 | 経済

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29日、韓国・マネートゥデイは「急速に円安が進む中、もしウォンに対する円の価値がさらに2%以上下がった場合、今年の韓国の1人当たりGDPが日本を上回る可能性がある」と分析した。写真は韓国。

2022年4月29日、韓国・マネートゥデイは「急速に円安が進む中、もしウォンに対する円の価値がさらに2%以上下がった場合、今年の韓国の1人当たり国内総生産(GDP)が日本を上回る可能性がある」と分析した。

記事は、同日の国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(WEO)データベースを基に「韓国の今年の 1人当たり名目GDPの見通しは4199万4839ウォン、日本の今年の1人当たり名目GDPの見通しは444万9522円。同日のレート(100円=964.59ウォン)で計算すると、日本の1人当たりGDPは4291万9646ウォンとなり、その差はわずか100万ウォンほどに過ぎない」と説明。

その上で「もし円の価値が最近の勢いで下落を続けたら、今年の韓国の1人当たり名目GDPが日本を上回る可能性がある。IMFの見通しが的中し、100円=943ウォン以下になった場合、つまりウォンに対する円の価値が現水準より2.2%以上切り下げられた場合に韓国の1人当たりGDPは日本を超える」と伝えている。

また「円の価値はウォンに比べ年初比3倍以上も大きく下落したが、円がこれまで代表的な安全資産と言われてきたことを考えると異例の状況だ」とし、円の価値が急落している理由は「日本銀行が世界主要国の中央銀行と反対に、金融緩和政策を続けているため」だと指摘している。

さらに「円安でなくても27年には韓国の1人当たりGDPが日本を追い抜くとの見通しも出ている」「35年に韓国の1人当たりGDPは6万ドルを超える一方、日本は5万ドル台にとどまると予想されている」とも伝えている。

これに韓国のネットユーザーからは「こんな日が来るとは…」「文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年は正しかった」「韓国国民であることが誇らしい」「日本の輸出規制で韓国は滅びると言っていた人たちは反省してほしい」など喜ぶ声が寄せられている。

一方で「韓国は台湾に抜かれた」「それだけ貧富の差が拡大したということ」「冷麺1杯が15000ウォン。給料は変わらないのに」「韓国の物価上昇率との関連性はどうなっている?」などと指摘する声も見られた。(翻訳・編集/堂本

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