発想王(13)
潜在効果 なんとなく良い影響を受ける
頭を柔らかくするポイント***************
1)知らず知らずにうける影響の大きさを知る。
2)本筋以外の情報にもちらっと目を向ける。
3)本物、一流にできるだけ触れる
***********************
●接触する回数が多いほど好きになる
何度も同じ物に触れていると、だんだんそれが好きになる、単純提示効果と呼ばれている現象がある。しかも、もっとびっくりするのは、意識的にはまったく何も見えない(閾下;サブリミナル)くらいに短い時間(5ミリ秒くらい)で提示しても、同じ効果がみられるのである。
この単純提示効果は見えの世界の話であるが、これに似た効果は、記憶や注意や判断など心の働きのあちこちの世界でもみられる。
たとえば、注意の世界でも、パーティ会場で、他の人との会話に注意を向けていても、自分の名前が呼ばれればすぐにそちらに注意が向く(カクテルパーティ現象)。この現象は、意図的な注意の範囲よりもずっと広く無意図的に注意を配っていることの証拠である。
また、記憶の世界についても同じようなことがある。実習で確認されたい。
意識下〔無意識〕に起こっているといるということで、ここでは潜在効果と呼んでおく。
●努力しないで影響される
潜在効果は、物を買わせたい、自分に1票を入れさせたい、といったことをねらう人々にとっては、すぐにでも飛びつきたくなるような効果である。しかし、これには、倫理的な問題があって、そうすんなりとは使えない。とりわけ、閾下提示の場合は、TV界では禁止されている。
確かに、人から制御される形での潜在効果の活用は困るし、気持ち悪いが、自分でなら、こうした効果を利用することはあってもよい。努力しないで好ましい影響をうけられるのだから、これほどありがたいことはない。
●潜在効果を活用する
世間で定評のある「良質な」人や物や環境に触れることである。それも、一回こっきりではなく、できるだけ頻繁に触れることである。
古物商や画商は、弟子に真贋判定の力をつけさせるために本物に徹底的に触れさせるとのことである。潜在処理される情報の重要性を知っているのであろう。
教育学の領域でも、隠れたカリキュラムという概念がある。良い教師、良い教育環境の中に埋め込まれている情報に触れることで子供が知らず知らずに身につける知識の大切さが、この概念には込められている。
いずれの場合も、何が真贋区別の決め手か、何が子供に好影響を与えるのかを顕在化させる学問的、経験的な努力がなされてはいるが、多分、いくら努力をしても残るもの(わからないもの)があるはずである。そこに潜在効果を期待するわけである。
では、我々の普段の心がけとしてでは、どんなことあるだろうか。
・美術館、博物館にいく
・一流品に触れる
・その道の達人の話を直接聞く
・名著や古典を読む
********本文61行
****
**********
「体験実験」「潜在記憶の実験を体験してみる」
1)次のものの好き嫌いを5段階で評定せよ。
国際 公園 小泉 広告 幸福 攻撃
2)次の○に適当な文字を入れて単語を作れ。
○かや○ くん○○ ○いけ○
せ○こ○ れん○○ こ○こ○
「解説」
2)の正解。「わかやま」「くんれん/くんせい」「たいけん/けいけん」「せいこう」「れんらく/れんこん/れんめん」「こうこく/こうこう」
一番最後の「こ○こ○」に何を入れたかである。もし、躊躇なく「こうこく」と入れたなら、それは潜在効果である。
1)で、6つことばの評定をした---記銘させたのではないことに注意!!---ことが暗黙のうちに2)の文字埋め込めクイズを解くときに影響していたことになる。もし1)にあったことに気がついていたら、それは顕在効果になる。
なお、「こ○こ○」単独で解かせれば、同音語がたくさんある「こうこう」になる。
*********
「実習」「潜在情報をチェックしてみる」
1冊の本を読むとして、意識的には処理をしていないが、なんとなく気になる情報をあと4つ列挙してみてほしい。
・本の装丁 ・レイアウト ・
・ ・ ・
「解説」
本は、文字と数字と絵を使って情報を表現している。読者はそこから書き手の意図を読み取る。これは、極めて意識的(顕在的)な情報処理として行なわれる。
しかし、例示したようなもの--パラ情報---も、知らず知らずのうちに(潜在的に)頭の中に取り込まれ、たとえば、「頁下に脚注欄のあったあの本」といったような想起手がかりとして使われる。
*****************
*****************************
図解「顕在処理と潜在処理」
図は別添
「解説」
何が顕在処理されて、何が潜在処理されるかは、その時々で異なるが、意図的に処理されている以上の情報が無意図的に処理されていることは間違いない。
これは、情報設計者の側から言うと、情報に付加価値をつけることの大事さを認識すべしということになる。同じことでも長島前監督が言ったのと、海保が言ったのとでは効果が違う。その効果の違いが潜在処理の影響である。
潜在効果 なんとなく良い影響を受ける
頭を柔らかくするポイント***************
1)知らず知らずにうける影響の大きさを知る。
2)本筋以外の情報にもちらっと目を向ける。
3)本物、一流にできるだけ触れる
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●接触する回数が多いほど好きになる
何度も同じ物に触れていると、だんだんそれが好きになる、単純提示効果と呼ばれている現象がある。しかも、もっとびっくりするのは、意識的にはまったく何も見えない(閾下;サブリミナル)くらいに短い時間(5ミリ秒くらい)で提示しても、同じ効果がみられるのである。
この単純提示効果は見えの世界の話であるが、これに似た効果は、記憶や注意や判断など心の働きのあちこちの世界でもみられる。
たとえば、注意の世界でも、パーティ会場で、他の人との会話に注意を向けていても、自分の名前が呼ばれればすぐにそちらに注意が向く(カクテルパーティ現象)。この現象は、意図的な注意の範囲よりもずっと広く無意図的に注意を配っていることの証拠である。
また、記憶の世界についても同じようなことがある。実習で確認されたい。
意識下〔無意識〕に起こっているといるということで、ここでは潜在効果と呼んでおく。
●努力しないで影響される
潜在効果は、物を買わせたい、自分に1票を入れさせたい、といったことをねらう人々にとっては、すぐにでも飛びつきたくなるような効果である。しかし、これには、倫理的な問題があって、そうすんなりとは使えない。とりわけ、閾下提示の場合は、TV界では禁止されている。
確かに、人から制御される形での潜在効果の活用は困るし、気持ち悪いが、自分でなら、こうした効果を利用することはあってもよい。努力しないで好ましい影響をうけられるのだから、これほどありがたいことはない。
●潜在効果を活用する
世間で定評のある「良質な」人や物や環境に触れることである。それも、一回こっきりではなく、できるだけ頻繁に触れることである。
古物商や画商は、弟子に真贋判定の力をつけさせるために本物に徹底的に触れさせるとのことである。潜在処理される情報の重要性を知っているのであろう。
教育学の領域でも、隠れたカリキュラムという概念がある。良い教師、良い教育環境の中に埋め込まれている情報に触れることで子供が知らず知らずに身につける知識の大切さが、この概念には込められている。
いずれの場合も、何が真贋区別の決め手か、何が子供に好影響を与えるのかを顕在化させる学問的、経験的な努力がなされてはいるが、多分、いくら努力をしても残るもの(わからないもの)があるはずである。そこに潜在効果を期待するわけである。
では、我々の普段の心がけとしてでは、どんなことあるだろうか。
・美術館、博物館にいく
・一流品に触れる
・その道の達人の話を直接聞く
・名著や古典を読む
********本文61行
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「体験実験」「潜在記憶の実験を体験してみる」
1)次のものの好き嫌いを5段階で評定せよ。
国際 公園 小泉 広告 幸福 攻撃
2)次の○に適当な文字を入れて単語を作れ。
○かや○ くん○○ ○いけ○
せ○こ○ れん○○ こ○こ○
「解説」
2)の正解。「わかやま」「くんれん/くんせい」「たいけん/けいけん」「せいこう」「れんらく/れんこん/れんめん」「こうこく/こうこう」
一番最後の「こ○こ○」に何を入れたかである。もし、躊躇なく「こうこく」と入れたなら、それは潜在効果である。
1)で、6つことばの評定をした---記銘させたのではないことに注意!!---ことが暗黙のうちに2)の文字埋め込めクイズを解くときに影響していたことになる。もし1)にあったことに気がついていたら、それは顕在効果になる。
なお、「こ○こ○」単独で解かせれば、同音語がたくさんある「こうこう」になる。
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「実習」「潜在情報をチェックしてみる」
1冊の本を読むとして、意識的には処理をしていないが、なんとなく気になる情報をあと4つ列挙してみてほしい。
・本の装丁 ・レイアウト ・
・ ・ ・
「解説」
本は、文字と数字と絵を使って情報を表現している。読者はそこから書き手の意図を読み取る。これは、極めて意識的(顕在的)な情報処理として行なわれる。
しかし、例示したようなもの--パラ情報---も、知らず知らずのうちに(潜在的に)頭の中に取り込まれ、たとえば、「頁下に脚注欄のあったあの本」といったような想起手がかりとして使われる。
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図解「顕在処理と潜在処理」
図は別添
「解説」
何が顕在処理されて、何が潜在処理されるかは、その時々で異なるが、意図的に処理されている以上の情報が無意図的に処理されていることは間違いない。
これは、情報設計者の側から言うと、情報に付加価値をつけることの大事さを認識すべしということになる。同じことでも長島前監督が言ったのと、海保が言ったのとでは効果が違う。その効果の違いが潜在処理の影響である。