●熱意
大学教員は研究論文の量と質でもっぱら評価される。講師から助教授、助教授から教授へと昇進するには、それぞれの段階で論文が5本くらいは必要である。それも査読された論文でないと高く評価されない。
したがって、どうしても授業より研究を優先することになる。悪いことではない。研究内容の貧弱化は、ひいては授業内容の貧弱化につながるからである。
しかし、この大義名分が、学会があれば授業は休講、わけのわからない休講も数知れず、アカデミックタイムと称して10分遅れの10分前切り上げ、試験はレポート一個で、といったずぼらな状況を横行させることになってしまっていたのが、少なくとも昔々の大学時代の授業であった。
それがここ15年前くらいから様変わりした。大学も、教育優先に大きく舵を切ったのである。文部科学省の行政施策による誘導が大きい。どの大学も競って教育に力を注ぎだしたのである。
教員も、昇進が研究重視でおこなわれるから研究、研究だったが、教育活動も昇進評価の対象になることがわかれば、もともと、学生に教えることが好きな人種なので、教育にも熱意を発揮する。とりわけ、年期の入った研究者は、年齢とともに研究力はどうしても低下してくる。ところが、膨大な知識の蓄積がある。それを若者に伝えたい気持ちは強い。
熱意なき講義は、内容がどれほど価値があり、また講義技術が卓越していても、学生を引きつけない。内容、技術、熱意が三位一体になってはじめてすばらしい講義になる。
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