●教員管理用の授業評価は危険
授業評価をして、へたな授業をする教員とのレッテルを貼られてしまった教員はどうするか。
そこでFDが登場して、なんらかの改善方策が採られるのが王道である。
ところが、必ずしもそうはならないことが多い。自己努力だけを期待して、それでも悪い評価が続く時は、昇進や昇給で差別されるというようになると最悪である。
さらに、学生からの容赦のない評価に授業意欲を減退させてしまうようことも起こりうる。評価に弱いのは学生だけではない。
こうしたこと以外にも、学生による授業評価の短所もいくつか指摘されてきた。たとえば、
・評価が甘くなる
・最先端の内容より説明しやすい内容や学生に受けの良い内容し
か取り上げない
・学生を厳しく訓練しなくなる
今はまだ導入時の混乱、戸惑い、不慣れなどがあるように思う。これが定着してくれば、評価結果の有効活用も期待できる。しかし、アンケート型の授業評価が授業改善のすべてではない。
●学生の反応を絶えずモニターする
自分の授業がうまくいっているかどうかは、その時その場での学生の反応を見ていれば、かなりのところまで自分でわかる。
寝ている学生が多ければ、授業が単調になっているのかもと疑ってみる。ちょっとざわついたら、板書の文字がわかりにくいのかもと疑ってみる。学生の目が輝いていれば、その話題は興味を引くことがわかる。
さらに、これも筆者がかつて試みたことであるが、授業評価ノートを回覧して、何かあれば書き込むようにさせた。単位取得に関する希望が多いが、中には、真剣に講義内容についての質問が書かれていることもあって、参考になった。
要は、学生の気持ちを理解しながら、授業をすることである。そのスタンスを陰に陽に、絶えず学生にメッセージとして伝えながら授業をすることである。そうすれば、おのずと授業改善のヒントが日々の授業の中から得られるはずである。そう思って、自分は毎日の授業をしてきた。