確認行為も、習慣になってしまうと、実際には確認しなかったのに確認したかのように錯覚してしまうことがあります。
それを恐れて、指差しという目に見える行為の形(外化)で確認をより確実にする工夫をしたのですが、それさえも、習慣化してしまうと、事例のようなことになります。
どんな行為でも習熟して習慣になると、それをしているという意識も努力感もほとんど持ちません。自動的に行為が進行します。
それはそれで大変にありがたいことです。一つ一つ意識的な努力をしなければならないとしたら、歩くことさえままなりませんから。
ただ、確認を怠ると事故に直結してしまうような現場では、これは困りものです。確認行為を実効性のある確認にするにはどうしたらよいかを考えなければなりません。
指差しでも、呼称を加えることで、より意識化しやすくするのも、その工夫の一つ。さらにその呼称を、災害予防研究所長・中村昌弘氏は、「--よし」ではなく、「---よいか?」と自問させることで、2段階の処理を要求することで意識化をはかる工夫を推奨しています。