期待が高じて仕事量がケタ違いに。
「君には期待をしている。だから、鍛えたいと思っている」。これが上司の口癖です。
期待をしてくれるのは嬉しいです、正直。僕も仕事ができるようになりたいので、鍛えられることにも決して不満はありません。 ただ、やみくもに仕事量が増え続け、パンク寸前でどうにかなりそうなんです。
上司としては、僕に期待をしてくれているみたいで、それはすごくわかるんです。 よくお昼をごちそうしてくれたり、励ましてくれたり。しかし、あまりの仕事量に僕が愕然として、さすがに上司に「無理です」と言ったとき、「俺の期待を裏切らないでくれ」と言われました。 つまり、本当に僕が限界にきていることを、わかってくれてないんです。
1週間ほとんど帰れなかったある日、あまりの仕事量の多さに、会社から抜け出して、気が付いたら公園で夕方までぼーっとしていました。 期待されることはやぶさかではないのですが、もう無理なんです。 どうしたらいいんでしょうか。
転職するしかないんでしょうか。
建築設計/31歳/男性
ココロ全体
の悩み
A
この相談には海保博之カウンセラーがズバリ答えます!
まず、休暇をとってください。それで、上司がどう出るか。
上司の真意をさぐってからが勝負。
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お答えします。
●即刻、休暇をとってください
これは、形を変えたパワーハラスメントかもしれません。 叱られて尻をたたかれてのパワーハラスメントなら、最近は、厳しい目が向けられるようになってきましたし、法律的な救いもあります。 しかし、今回のあなたのようなケースでは、ほめておだてて仕事漬けにするのですから、ハラスメントの認定には難しさがあります。 しかし、これはいわば、ポジティブ・パワーハラスメント、「ほめ殺し」ハラスメントかもしれません。
それだけにやっかいです。
まずは、即刻休暇をとってしばらく様子をみてください。 場合によっては、神経科クリニックの診断書を提出することもあります。 今のあなたの状態は、うつ病の前駆症状のようにみえるからです。 さらにからだも耐え切れなくなる恐れもあります。
●上司、同僚と徹底的に話しあってみてください
休暇をとったあなたに対して、上司がどう出るかをじっくりと観察してみてください。
上司の真意がどこにあるかを見極めてください。 それでも、上司のあなたへの「過度の期待」が改まらないようでしたら、不運な上司にぶつかってしまったとあきらめて、身を守るために転職するしかないかもしれません。
でもその前に2つほど、やってみてほしいことがあります。
一つは、あなたの同僚に対するその上司の言動です。 誰彼となく、あなたと同じように「ほめ殺し」ハラスメントをしているのでしょうか。 もしそうだとすれば、いやそうでなくとも、まずは、同僚どうしで話しあって、同僚と一緒にその上司とともに仕事の割り振り方について話し合ってみることはできませんか。
もう一つは、上司の上司(あるいは社長)がいるはずです。 転職覚悟で、さらに上の上司への直訴もありだと思います。 それによる上司との関係悪化はこの際、しかたないですね。 その際、あなたがどれほどの仕事をさせられているかをできるだけ克明に記録したものがあるといいですね。 その上司とのやりとりも含めて記録を作って見せられるようにしておくといいですね。
●蛇足ですが
31歳建築技師。あなたは仕事ができる方なのだと思います。
普通なら今が一番、仕事が楽しくできる時期です。 多少の無理は、買ってでもしてしまいます。 それがスキルアップ、ステップアップにつながります。 「君には期待をしている。だから、鍛えたいと思っている」を字義通りにとりたいところです。
しかし、それにも限度があります。 あなたにこんな相談をさせるようでは、限度越えです。 本当にあなたに期待をしているなら、部下の仕事量の限度がみえなければおかしいですね。 上司に、そのおかしさに気がついてもらう可能性にとりあえず賭けてみるつもりで、まずは休暇をとって様子をみてください。
もう一つ、あまりいい子ぶらない決断も必要かもしれません。 上司から、あるいは人から多少は嫌われる、煙たがわれるくらいのところもあってもよいのです。 自分大事、自分の生き残りをここは優先させてみてください。