趣味「元気に彩りを与えてくれるもの」
●趣味人
細川護煕元総理大臣の「私の履歴書」が日経新聞に連載されていました。波乱万丈の人生物語、とってもおもしろかったです。それはさておくとして、細川氏、議員辞職をしてから、一転して晴耕雨読そして陶芸に没頭、いまやその道の大家の趣さえあります。
このように、第一の人生も頂点を極め、さらに、一転して第2の人生で、趣味道に徹して生きる。これは、一つの模範的で誰もがあこがれる生き方ではないかと思います。官僚の天下りが悪評のなか、実に気持ちの良いすがすがしい生き方ではないかと思います。
一方では、「仕事が趣味」と豪語するビジネスマンや社長もたくさんいます。自分も、ほそぼそと昼休みテニスだけはしていましたが、どちらかというと50歳代半ばまではこちらのほうでした。貧乏でお金も時間もなかったからです。この点では、くいが残る人生です。
さて、その趣味と頭の元気の話です。
●趣味ってどんなもの
趣味の世界は多彩です。誰もが納得するような趣味もありますし、えっ、そんな趣味あり、というようなものもあります。あなたの趣味は?と聞かれたら何と答えますか。
自分の場合は、テニスとこのブログづくりですね。笑
さて、その趣味の心理の特徴をいくつかあげておきます。
まずは、何をおいても、楽しいということがありますね。それをする前は、大げさに言うなら、待ちどおしくて、わくわくどきどきです。普通は、何かをするときは、億劫感があるものですが、趣味をする前はそんな気持ちとは無縁です。いわば、子どもの頃の修学旅行前夜のような気分ですね。
そして、趣味活動をしているときは、時間のたつのを忘れて没頭してしまいます。熱中してしまうこともあります。忘我状態といってもよいかもしれません。むしろ、情熱を持っているといったほうがよいかもしれません。
この2つの特徴だけは、いわゆる遊びの心理と同じですが、趣味となると、さらに、上達感と達成感が味わえるところが格別です。
だんだん上手になる、そしてそのための努力をする、それが上達につながれば達成感を持てることになります。
これは、仕事や勉強でも味わうことができます。「仕事が趣味」というのは、ここだけを見ているのですね。趣味が仕事と違うのは、お金に関係ないということです。というより、成功、失敗に関係ないことといったほうがよいかもしれません。
関連してもう一つの特徴を挙げれば、趣味は金銭的な損得には無関係です。お金もつぎ込みますが、そのリターンは、もっぱら上達や達成感という心のほうです。もっとも幸運な人には、趣味が実益になる場合もありますが、それは偶然のリターンくらいに考えておいたほうが良いかもしれません。
さきほど、自分は貧乏だったので、無趣味だった、と書きましたが、趣味はやはりお金と時間のある「貴族」のためのものという色合いはありますね。
●趣味で心を元気にするコツ
①深堀できる趣味を持つ
遊ぶは、あれこれ多彩であるほうが、心の元気づけには良いと思いますが、趣味は、あれこれよりこれだけ、のほうがよいと思います。そうすることで、上達と達成感が得られやすくなるからです。
掘れば掘るほどどんどん広がりも出てくるおもしろさもあります。子どものような知的好奇心を沸かせながら、仕事の世界とは別のもう一つの世界を生きることができます。
②趣味と仕事のバランスをとる
ワーク・ライフ・バランスなんて当たり前のことだと思いますが、そんなことが官民一体で叫ばれる日本の現状には、怒りさえ覚えてしまいます。
それはさておくとしても、趣味に浸れる時間を確保することは、人生を豊かにするためには必須ではないでしょうか。頭の柔軟性を養うためにも必須ではないでしょうか。気持ちの元気をつけるためにも必須ではないでしょうか。
③人生の早い時期、学校を終える前までに、趣味の基盤を作っておく
細川元総理のように第2の人生を趣味でという人でも、いきなりまったく未知の領域の趣味をやるというのは大変です。ある程度の助走期間があったほうが良いと思います。
大学時代がそうした基盤づくりには一番よいと思います。お金がないのがつらいところですが、時間は有り余るほどありますから。
これも、あれこれよりも、テーマ限定で深堀することが知的趣味につながると思います。産業界のトップが、坂本龍馬研究の第一人者というようなことになってほしいものですし、何人か、そういう方がいますね。
もちろん、日本の大学生では、そうした基盤は、多くは課外活動で培われます。仲間と一緒に楽しみながらの活動は何物にも変えがたいところがありますね。大事なことは、遊びに終わってしまわないようにすることです。「楽しかった」だけで終わっては時間の浪費になってしまいます。
すでに社会人になっている人にとっては、お金はあっても時間がない、というのが現実だと思います。それでも、将来の趣味生活の準備の心構えと予備的にでもやれることは少しずつやってみることをすすめます。それが、仕事一辺倒からくるアンバランスな生活を是正することにもなります。
毎日、1時間、たとえば、坂本龍馬のことをあれこれリサーチしてはまとめる、なんてことを10年間続けたらどれほどのものになるか、考えるだけでもわくわくですね。