はじめに
――「不機嫌社会を生き抜く、ポジティブ心理術」 連載開始!
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すでに冊子形式で電子的に公表しているものですが、6月から、4部構成の各部ごとに、
「あいうえお」順の項目ベースの不定期連載をします。
ブログ記事枯渇対策の一環です。
なお、全体目次は、5月下旬の記事としてアップしてあります。
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●不機嫌社会を生き抜こう
今、日本全体に元気がありません。
働く人々の心にも、うつ傾向が目立ちます。自殺者3万人超えが12年連続は、異様ですね
最近は、さすがに、ストレスやうつの対策は個人、企業ともに普及してきています。結構なことです。
『不機嫌は罪である』齋藤孝・著 KADOKAWA なんて本も最近、出版されて話題になっています。
本書では、さらに一歩進んで“心を元気にする習慣をつくるには、どうしたらよいか”を提案してみたいと思います。
ストレスやうつに受身で対処する「病理モデル」ではなく、最近の心理学の一つの潮流になりつつあるポジティブ心理学で採用されている、心を元気溌剌にする「健康モデル」をベースにした提案になります。
●気持ちと頭と周りの3つの元気を考えます
便宜上、心を「気持ち(感情)」「頭(認知)」「周り(対人関係)」の3つのカテゴリにわけて、それぞれを元気にするためのヒント、コツを提案させていただきますが、3つの分類、それほどきちっとしたものではありません。そもそも、心は知情意一体ですから。随所で、「心を元気に」としたのも、そういうことです。
でものんべんだらりとアイウエオ順も芸がないので、一応、「気持ちを元気にする」「頭を元気にする」「周囲を元気にする」の3つのカテゴリー(部)に分け、関連するキーワードをそれぞれアイウエオ順に取り上げてみました。
●から元気と真正の元気
なお、最初にお断りしておきたい大事なことがあります。
心の元気づくりのコツを提案させていただきますが、心の元気には2つあります。
「から元気」と「真正の元気」とです。
「から元気」。やや軽すぎる言い方ですが、たとえば、「おいしいものでも食べて元気を出して」というようなときの元気が、これです。一時的な心のポジティブ化とでもいうようなものですね。
多くのキーワードでは、もっぱら「から元気」づくりの話になりますが、本当の心が元気というのもあります。それを真正の元気と名づけてみました。
ちょっとやそっとではめげない強くいつもはつらつとした前向きの元気です。
こんな元気を発している方々が、皆さんの周りにもいるのではないでしょうか。
本書でも取り上げましたが、使命感に溢れ、宗教心を持った人です。
使命感は社会との絆の中での元気づくり、宗教心は個人が真善美を果てしなく追求する中での元気づくりです。
こんなことを考えているからでしょうか、思わぬ本に遭遇しました。
今日、本屋で東野圭吾著「使命と魂のリミット」(角川文庫)を偶然みつけました。なにやらこのタイトル、自分のこの考えと共振しているようで嬉しくなり買ってきてしまいました。読みました。ミステリーを超えた本でした。医師、看護師、患者、警察官、刑事、そして犯罪者さえもが、まさに、
「人間というのは、その人にしか果たせない使命というものを持っているものなんだ。誰もがそういうものを持って生まれてきているんだ。」
を実践して生きるすごさを描ききった感動のミステリーでした。使命感も
それを突き抜けると宗教心にまで高まるのですね。
誰もがこうした使命感と宗教心に支えられた真正の元気を身につけほしい
とは思いますが、いきなりは無理というものです。
そこで考えたことは、「から元気も積もれば真正の元気になる」ということです。
から元気を少しずつでも心のダムに溜め込んでいけば、いつかは、真正の元気として人生を切り開く力になるはずとの確信です。
この確信を共有していただけるかどうかは、本書を読み終えたところで読者諸賢にお聞きしたいところです。
さらに、冒頭でこんなことを言うのは、ややまずいかもしれませんが、ポジティブマインド、万々歳ではないということです。
感情は喜怒哀楽あって自然です。朝から晩まで、職場でも家でも、気にくわない人の面前でも、笑顔で元気、は不自然です。疲れていずれひっくりかえってしまいます。
元気に泳ぎ続けないと死んでしまう黒マグロになることのすすめではありません。
ちょっぴり、あるいは時々ポジティブ感情のほうにバイアスをかけるための手助けくらいのところを本書はねらっています。
●読み方
キーワードによって分量が長いもの、中くらいのもの、短いものと様々です。キーワードの重要度とはあまり関係ありません。「日経ビジネスAssocieオンライン」、「安全衛生のひろば」、「東京成徳大学HP」、そして、個人ブログに思いのままに書いたものをベースに書きおろしたら、そうなったと理解してください。
キーワードごとに完結させました。そのため、一部、重複しているところもありますが、それは、それだけ本書全体が一貫した考えで貫かれているためと、ポジティブにお考えいただければ幸いです(笑)。
また、キーワードの配列の順序は、各部で、アイウエオ順になっています。気になるものをまずはざっとお読みいただき、あとは、座右において、その時々で目についたり、気になったりするものを読んでいただくのがよさそうです。
世にあまたある「元気本」のなかで、さてどんな新たな特長を出せたか、不安一杯です。「心配ない、元気だせ!!」(笑)