第9回「場の集中力を最適化する
●2つの目より4つの目
昔、40代後半、車を購入したばかりの頃、妻を助手席に乗せて、あちこちドライに出かけるのが週末の楽しみでした。
そのときに妻に頼んだことの一つが、妻にも運転手のつもりになって危険を探知したら口に出してほしいということでした。2つの目で見るより4つの目でみるほうがより安全だと思ったからです。何度かそれで助かったこともありました。
集中力は、すぐれて個人的な営みです。それだけに、つい個人の集中力だけを考えればよいと思いがちですが、4つの目、6つ目、―――による集中力の協働ということも、とりわけチームで作業するときでは大切になります。今回は、チーム作業を想定した集中力の最適システム化の話です。
●集中力の分業化と集中化
集中力の分業化の卑近な例をまず一つ。」いつ頃からか、道路工事などでは必ず、警備員が交通整理を分担するようになりました。この分業化で、工事現場の集中力管理はきっちりとできるようになりましたし、おそらく工事現場での事故はかなり減少したはずです。
この分業化には、さらにメインの仕事の中でも集中力を発揮するところで行うこともあります。
たとえば、監視業務。プラントの監視制御パネルなども大規模になると、監視しなければならないパネルの数も種類も多くなります。一人の集中力に頼るわけにはいきません。有機的な関係がみえるようなパネル設計をした上で、何人かで集中力を発揮するところを分業化する必要があります。
これに対して、集中力の集中化ということもあります。
たとえば、故障診断。故障原因を見つけるために、多彩な人々が集まって集中力を発揮することで、すばやく正確な診断ができます。大事なことを見逃すミスも防げます。
状況に応じて集中力の分業化をしたり集中化したりすることが必要です。
●いろいろの集中力を発揮できる人を組み合わせる
集中力の機能には、選択、配分、持続の3つがあることは第1回に述べました。このうち、選択と配分を一緒にして集中力の「高さ」として、持続と高さの2本の軸を設定して、集中力の観点から人を4つにしてみたのが、図です。
数値は大学生50名にチェックリストを使って類型化してみた時の割合です。
図 集中力で人を分けると
それぞれの特徴をチェックリストから摘記すると次のようになります。
○真剣勝負型(勝負ごとやゲームが好きで、長い読み物を好む)
○気配り型(人を喜ばせるのが好きで、変化に富んだ生活が好き)
○泰然自若型(ぼんやりする時間が多く、のんびりした生活が好き)
○一発勝負型(緊張した状態が好きで、一夜づけが好き)
たとえば、作業をチームとして行なうようなケースでは、注意特性のタイプという点からメンバーを作業内容に合わせて割り付けるということもありえます。たとえば、こうなります。
○真剣勝負型 細部の詳細にわたる面倒な仕事を担当させる
○気配り型 仕事の段取りや時間管理を担当させる
○じっくり型 長時間の監視業務を担当させる
○一発勝負型 仕事のプランニングや企画を担当させる
あるいは、いくつかのタイプを仕事内容に応じてメンバーに選ぶのもありです。。
このような、いわば、チームという「場」の中にチーム全体の注意管理を最適化するための仕掛けを組み込むことで、個人による集中力管理の万全を期すのです。
●2つの目より4つの目
昔、40代後半、車を購入したばかりの頃、妻を助手席に乗せて、あちこちドライに出かけるのが週末の楽しみでした。
そのときに妻に頼んだことの一つが、妻にも運転手のつもりになって危険を探知したら口に出してほしいということでした。2つの目で見るより4つの目でみるほうがより安全だと思ったからです。何度かそれで助かったこともありました。
集中力は、すぐれて個人的な営みです。それだけに、つい個人の集中力だけを考えればよいと思いがちですが、4つの目、6つ目、―――による集中力の協働ということも、とりわけチームで作業するときでは大切になります。今回は、チーム作業を想定した集中力の最適システム化の話です。
●集中力の分業化と集中化
集中力の分業化の卑近な例をまず一つ。」いつ頃からか、道路工事などでは必ず、警備員が交通整理を分担するようになりました。この分業化で、工事現場の集中力管理はきっちりとできるようになりましたし、おそらく工事現場での事故はかなり減少したはずです。
この分業化には、さらにメインの仕事の中でも集中力を発揮するところで行うこともあります。
たとえば、監視業務。プラントの監視制御パネルなども大規模になると、監視しなければならないパネルの数も種類も多くなります。一人の集中力に頼るわけにはいきません。有機的な関係がみえるようなパネル設計をした上で、何人かで集中力を発揮するところを分業化する必要があります。
これに対して、集中力の集中化ということもあります。
たとえば、故障診断。故障原因を見つけるために、多彩な人々が集まって集中力を発揮することで、すばやく正確な診断ができます。大事なことを見逃すミスも防げます。
状況に応じて集中力の分業化をしたり集中化したりすることが必要です。
●いろいろの集中力を発揮できる人を組み合わせる
集中力の機能には、選択、配分、持続の3つがあることは第1回に述べました。このうち、選択と配分を一緒にして集中力の「高さ」として、持続と高さの2本の軸を設定して、集中力の観点から人を4つにしてみたのが、図です。
数値は大学生50名にチェックリストを使って類型化してみた時の割合です。
図 集中力で人を分けると
それぞれの特徴をチェックリストから摘記すると次のようになります。
○真剣勝負型(勝負ごとやゲームが好きで、長い読み物を好む)
○気配り型(人を喜ばせるのが好きで、変化に富んだ生活が好き)
○泰然自若型(ぼんやりする時間が多く、のんびりした生活が好き)
○一発勝負型(緊張した状態が好きで、一夜づけが好き)
たとえば、作業をチームとして行なうようなケースでは、注意特性のタイプという点からメンバーを作業内容に合わせて割り付けるということもありえます。たとえば、こうなります。
○真剣勝負型 細部の詳細にわたる面倒な仕事を担当させる
○気配り型 仕事の段取りや時間管理を担当させる
○じっくり型 長時間の監視業務を担当させる
○一発勝負型 仕事のプランニングや企画を担当させる
あるいは、いくつかのタイプを仕事内容に応じてメンバーに選ぶのもありです。。
このような、いわば、チームという「場」の中にチーム全体の注意管理を最適化するための仕掛けを組み込むことで、個人による集中力管理の万全を期すのです。