8月4日。日曜日。福島県只見町の奥会津ただみの森キャンプ場の朝。4時半に寒さで目をさました。明け方に気温が下がったのだ。昨夜は何もかけずに眠っていたから、油断していた。
キャンプ場にはガスがかかっていたが徐々にはれてくる。
昨夜は遠雷がきこえていたので、雨にそなえてセローを炊事棟にいれておいた。
降雨はなかった。バイクをひきだしてカップ麺の朝食をとる。
この野営場はゴミがすてられるのがありがたい。準備をととのえて7時10分に出発する。肌寒いのでカッパを着ようかとおもったが、走ってみると不要だった。気温は24℃と表示されていた。
国道252号線をゆくと、会津塩沢で只見線の列車においついた。只見線は時速50キロほどで走っている。国道でしばし並走した後で先行する。河井継之助記念館の先でバイクをとめて、只見線のディーゼル車がやってくるのをまった。
只見線の一両目は山手線のようなカラーで、二両目は昔の総武線のような色だ。
只見線が通過するときに乗客と手をふりあった。いつもはこんなことはしないのだが、自然と手をあげていた。たがいに笑顔だ。
愉快な気分になった。
滝沢炭酸水にたちよる。
天然の炭酸水は冷たくてしゅわしゅわでおいしいが、アブがうるさいので早々に退散した。
会津川口駅に8時に到着した。高校生がたくさんいるが、沼沢湖祭りに参加するようだ。バイクからおりると、高校生をおくるバスの運転手さんが話しかけてきた。同年輩の方だ。昔とちがって夏はあつくてバイクにのれないとのこと。数年前からずいぶん気温があがるようになりましたね、と応じたが、運転手さんがなにに乗っているのかを、聞き洩らしたのが残念だった。
川口駅のホームでは会津若松ゆきの列車がとまっていたが、これはさっき撮影した車両のようだ。只見線はのんびりしている。沼沢湖祭りのクライマックスには、大きな竜が登場するとポスターにあった。
会津川口から国道400号線で南下する。やがて昭和村だ。村には藁ぶき屋根の上に赤いトタンを張った家がおおい。野尻川にそってすすみ、くすんだ朱色の屋根の家がならぶ集落をぬけてゆく。田んぼに畑、温泉、古い商店や食堂が点在する。昭和村の名前のとおり、昭和にタイムスリップしたようなところで、ここがとても好きだ。
昭和村をはしりぬけ、会津田島との境の船鼻トンネルの手前にある白森清水でも水をくむ。
この水もつめたくておいしかった。
船鼻トンネルの中はさむかった。
トンネルの先にある田島ダムでこれからのルートを検討する。国道400号線を南下しつづけて那須にぬけることにした。
塩原は28℃だった。那須で国道4号線にはいってもまだ暑くはない。11時すぎに矢板の『ともなりそば処・信生庵』にはいる。昨日そばをたべそこねているから、ここで仇をとろうとおもったのだ。
私が口開けの客だった。天ざるそばの大盛りを注文する。1760円。
ここは以前、北海道ツーリング仲間ときた店なのだ。ものすごくおいしかった記憶がのこっていたのだが、今日はそうでもない。この店は年配の女性たちで運営されている。座敷があるが、テーブル席にしか客をいれていない。待っている客がいてもだ。おばあさんたちは小上がりにのぼったり、おりたりするのが億劫なのだろう。お店も人も年をとったのだ。昨日のそばの仇はうてなかった。
この先は暑いと覚悟してはしりだすと、宝積寺あたりから高温になってきた。宇都宮、古河とぬけてゆく。この日の最高気温は37℃にたっした。体がなれてきたのか先週ほど暑さをかんじなかったが、ヘルメットの内装は汗でしとどにぬれていた。やはり35℃以上ではバイクにのれない。
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