天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「スリー・ビルボード」@3本目(試写会)

2018年01月22日 | 映画感想
「スリー・ビルボード」

試写会で鑑賞。
普段行かない映画館での試写会だったから一度も予告編すら見た事のない作品で、友達が当てたんだけど行けなくなったらしくて
自分の所に試写状が運良く回って来たという訳で…Eさんいつもあんがとー♪
という訳で、全く何の予備知識もなく鑑賞

あらすじ…アメリカ中部ミズーリ州の田舎町のハズレにある3つのビルボード(大きな広告看板)に、ある日広告が貼り出された。
それは7ヶ月前に娘をレイプ惨殺された母親が未だ犯人が捕まらない事に業を煮やして警察の捜査の怠慢を批難する内容だったのだ。
この広告が貼り出された事で街の人々の心が大きく揺れる。広告看板には警察署長を名指しで糾弾していたが、警察署長を慕う人も街には多く
広告を出した母親とその息子は様々な嫌がらせや迫害を受けるが、また逆に母親を応援する人も現れて…

メガホンを取ったのはイギリス人監督のマーティン・マクドナー氏。申し訳ない…彼の他の作品を1つも観てなかったわorz
という訳で初見なんですが…何と言うかコーエン兄弟の作風と似てるなーという印象。
シリアスな人間愛憎劇にブラックユーモアをチョイチョイ挟み込む感じ、って言えばいいのかな?
決して派手な展開はないんだけど静かに静かに、でも気付けば観客はこの話の中にグイグイ引き込まれている不思議。
(以下、重要なオチに絡む記述満載になりますので本作未見の方はスルー推奨します)


先ず、ウディ・ハレルソンとジェイソン・ステイサムは似てるといつも思う。いっつもスクリーンに出てくると「あれ?どっち?」って思う。
あーいきなり全く映画と関係ない事書いちゃった!←阿呆
という訳で本作はジェイソン・ステイサムじゃなくてウディ・ハレルソンの方が警察署長役で登場。
あ、本作実はキャストがかなり豪華。娘を殺されてしまった母親ミルドレッド役をフランシス・マクドーマンド、そして超人種差別主義者の横暴警察官ディクソン役を
サム・ロックウェル、回想シーンでチョイ出演の殺された娘アン役になんとアビー・コーニッシュ!美女の無駄遣いですぢゃ~w

さてさて、3つの広告看板を使って警察署長を糾弾した事で警察署長寄りの街の人達から様々な嫌がらせを受けるミルドレッドなんだけど
不思議と彼女に同情する気になれなかったんですよね。それは多分彼女が余りにも「復讐」にこだわっていてキチっぽく見えたからだと思うけど(コラコラ
それよりなにより通常この手の話の展開って…そのミルドレッドが糾弾した相手の警察署長は底意地悪くて権力を笠に来てやりたい放題の汚職し放題の
絵に描いたようなクソ警察署長なんだろう、と思いきや…本当にめっちゃくちゃいい人で「あれっ!?」って逆に肩透かし食らっちゃうw
そーは言っても実は裏があるんちゃうん?と最初の内は疑心暗鬼で観てたんだけど、話が進めば進む程どこをどう切り取ってもステキな人で
「こりゃー…こんなステキな人を名指しであんな大看板で糾弾しちゃったら、そりゃーアンタ町中から潰しに掛かられるわw」位には思う(薄笑)

ところでその当のステキング☆警察署長は名指しの糾弾を受けた段階で既にガンで余命告知までされてるレベルで、それを申し訳なさそーにミルドレッドに
告白するとミルドレッドがシレッと「知ってるよ。町中みんなね」と答えるw
で、余命いくばくもない警察署長相手にこの話はどこに向かうんだ?…と思ってたら、これがまたとーんでもない展開が繰り広げられてびっくり仰天!
劇中のミルドレッドも「はああああああ!?」みたいな状態になってたわ^^;

で、ね。
この「第二の事件(と呼んでいいと思う)」によってミルドレッドも、それから人種差別クソ警官ディクソンも大いに影響を受けるんですよね。
もっと言えば広告屋のレッドも、そしてミルドレッドの元夫、更にはミルドレッドに憎からず思いを寄せる小男のジェームズも影響される。

陰惨な事件に絡む、暗く、そして閉鎖的な田舎の出来事、しかもロクな展開になってないのに(いやむしろどんどん負の連鎖が繋がってるレベル)
不思議な事に「ちょっと胸がすく」とでも言うのか…起こっている事実はロクでもないのに何故か嫌な感じがしない、むしろいい気分になると言うのか。
ちょっと説明が難しいんですが…娘を殺した犯人は置いといて、最終的に本作に登場する主要人物がみんなちょこっとずついい人なんですよねw
誰しも100%悪だけで構成されている人間なんていないだろうけど、負の連鎖でどんどん心が荒んで行く中で「ある手紙」によって心が救済されて
ちょっぴり浄化されて、それによって周囲にも少しずつ変化が起こって行く…その様が実に清々しい、とでも言えばいいのか。
レッドが優しく声を掛けた顔中包帯まみれのお気の毒な患者が、実は自分を病院送りにした当人だったと分かってわーわー騒ぐんだけど、泣きながら謝る彼の姿を見て
「ちぇっ…なんだよぅ~」みたいな感じで自分のオレンジジュースをコップに注いで飲み易いようにストローを刺してソッと差し出すシーンなんて個人的に超ツボった♪

映画のラストの2人の会話がなかなかシャレててにんまりします。
もしかしたらこの2人、これから恋に落ちちゃったりしてーーー!位には観てるコッチもちょっと心が浮き立つ。
まあでもこの人達これからとんでもない事件起こそうとしている訳ですがwww最後の最後までユーモアのあるセンスのいい作品でしたね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする