「ロボット・ドリームズ」
今年のアカデミー賞長編アニメーション賞ノミネート作品。全然知らんかったが某映画系YouTuberさんが絶賛されていたので興味が沸いて鑑賞。
制作はスペイン×フランス、アメリカの作家サラ・バロンによる同名グラフィックノベルを原作にスペイン人監督パブロ・ベルヘルが+脚本も担当。動物たちがメインで暮らす(人間も登場するけどあくまで動物が主軸)架空の1980年代の米NYマンハッタンを舞台に繰り広げられる「動物×ロボットの友愛」を描いた作品
あらすじ
1980年代のニューヨーク。マンハッタンで暮らすドッグは孤独を感じ、友人となるロボットを自ら作り上げる。自作のロボットとドッグが友情を深めていく中で季節は移ろい、やがて夏がやって来る。ドッグとロボットは海水浴に出かけるが、ロボットがさびついて動けなくなってしまう。(Yahoo!検索情報から丸パク)
動物たちを擬人化させる事+性別のないロボットをパートナーにさせる事でポリコレ+LGBTQ+DEI問題を一挙に解決させて話を「人間の喜怒哀楽+孤独と友愛、それに伴う様々な心の動き」にフィーチャーしたシンプルなヒューマンドラマに昇華させているのが素晴らしいと思った。
色々書きたいんだけど(て言うか今まで結構な時間掛けて色々本作のあらすじに沿って講釈書きまくったんだけど思うトコロあって全消去したわ)、コレは予告編だけの最小限の情報だけで充分だからとりあえず本作を観て欲しい。
絵ヅラがほのぼのしたヘタウマ系のシンプルな手合いだから「お子様向け(ファミリー向け)だな」と思われがちですが、内容は完全に青臭い思春期は終了した成熟した大人向けになっています。何なら酸いも甘いも噛み分けた、一通り辛い恋愛(と別離)も乗り越えた輩の方が刺さりまくる内容だと思われ。
本作ナレーションもセリフもなくキャラクターの動きと表情だけで見せているんだけど、何も説明がないからこそダイレクトに人の心に訴えかけて来るものがある。
寂しい、苦しい、楽しい、嬉しい、出会い、そして別れ、更にその先にあるそれぞれの選択、そして…愛する人の幸せを心から願う気持ち。そういう感情の流れが静かに優しく、切なく胸に迫ってくる。こんなのハナタレのクソガキが汲み取れる訳がなかろうて!(ヲイ…
劇中色んな楽曲が流れていますがその中でも特にEarth, Wind & Fireの「September」がメインで流れていて、この曲がさー!いかにも80年代のNYにマッチしているし、本作を最大限切なく甘くさせているんですよーもう今後この曲が流れてきたら自動的に本作の事を思い出して泣いてしまうかもしれない!
そう…本作舞台設定が80年代というのがまた絶妙だったと思う。まだ携帯電話もネットも普及していない時代で連絡手段は自宅電話か手紙しかなかった。連絡を取りたい時に24時間いつでも相手を捕まえられる(なんなら今や相手のスマホをGPS捕捉して位置情報まで入手可能だし!)現代と違って、相手を思って電話を掛けるも出ない、または相手から掛かって来た電話にタッチの差で出られずにすれ違ってしまう…自宅に直接出向いてみるもたまたま相手は外出していて捕まらない。そんな焦れったい恋愛が80年代の頃は当たり前だった。
あの頃の甘酸っぱい恋愛を経験した「昭和のオッサン&おばはん」には本作たまんないと思いますよ。
と、そんな感じで昭和のノスタルジックを思いっきり引きずり出してくれる本作ですが…スマホ時代の若者だってきっと刺さる感情は同じだと思います。
些細な出来事がきっかけでほころんでしまう関係、仕事や学業等で物理的に距離が開いてしまい…物理的距離が心理的距離もいつしか生んでしまう。心の隙間に入り込む新たな出会いが自分の心を満たしてくれると更に物理的距離がハンデになっていって…そんな事、今の時代だっていくらでもありますよね。
そういう切ない気持ち、本作がガンガンに引きずり出してくれて…でも甘く優しくアナタを包み込んでくれますよ。大人は必見です!
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