事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ガリレオを全部観る20 「攪乱す(みだす)」

2021-06-23 | テレビ番組

その19「演技る(えんずる)」はこちら

今回は“食えない科学者”のお話。性格的に度し難い(それは湯川も同様だが)のと同時に、文字通り貧乏暮らしを強いられている科学者が湯川に挑戦する。

湯川が警察の捜査に協力しているとの記事が週刊誌に載る。Y准教授となっているけれども帝都大としては面白くない記事だったかも。そしてその記事に、かつて湯川に煮え湯を飲まされた(と本人は思い込んでいる)人物の邪悪さに火をつける。

犯人が使ったトリックはきわめてシンプルでオリジナリティが感じられない。ロングレンジ・アコースティック・デバイスという音響兵器。科学者としてのレベルがこれで理解できる。

湯川が犯人を特定する方法がミステリ的には面白い。

犯行予告はネットで行われるのに、犯行声明が郵便で送られてくるのはなぜかに注目し、彼は大学のマンパワーをフル活用して犯人の手口を推理する。そして……。これって昔からある「鉛筆書きで地震予兆ハガキを用意する」パターンだ。やっぱり、オリジナリティのかけらもない。

生瀬勝久がカルチャースクールの講師などで糊口をしのぐ中年を演じてすばらしい。同じように屈託を抱える助手の栗林(渡辺いっけい)とのからみは味わい深かったなあ。

すべてを他人のせいにしかできない、弱い人間がここにいる。彼は自分の現状がすべて湯川に論破されたことにあると曲解している。カルチャースクールの講師だってきちんと勤めていれば喜びもあるはずなのに。おじいちゃんたちは興味を示さないけれども、わたしは興味津々でしたよ。

「この歩数計にも科学があります。こうやって手で振ってもカウントされないのに、歩くとカウントされる。不思議でしょう?これは加速度センサーというものが……」

ちょうどわたしが知りたかったこと。ためになりますガリレオ。

その21「聖女の救済」につづく

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ガリレオを全部観る21 聖女の救済

2021-06-23 | テレビ番組

その20「攪乱す(みだす)」はこちら

前後編の最終回スペシャル。わたしは東野圭吾のガリレオシリーズはすべて読んでいるけれども、「聖女の救済」がいちばんすばらしいと思う。あの「容疑者Xの献身よりも。あ、よく考えたらこの二作はタイトルが連関している。

朝、リモートで会議に出ている社長(堀部圭亮)はコーヒーを飲んでいる。そして夕刻に次の一杯を飲み、絶命する。使用された毒は砒素。そのとき、社長の妻、綾音(天海祐希)は遠く離れた北海道にいて、事件には絶対に関与していないと警察はもちろん判断した。

毒はコーヒー、カップ、ケトルに残されていて、警備保障完備の自宅に侵入者がいたとしか考えられない状況。実際に、その日の午後、紫の傘の女性が訪れていたのだが……

綾音は湯川の中学時代の同級生。だから彼女は“湯川くん”と呼びかけ、岸谷刑事は絶句する。

犯人が湯川の個人的な知り合いであるという設定もまた、「容疑者Xの献身」と対を成している。湯川は北海道の中学から東京に引っ越し、そしてあの石神に出会うことになるわけだ。

この殺人のトリックはネタバレになるので明かせないけれども、よほど強靭な精神力がないと成立しない。その象徴が殺人現場にのこされたタペストリーであり、湯川がそれを引っぺがして壁面に数式を書き始めるのも象徴的。

原作でおとなしいイメージがあった綾音を、強さを感じさせる天海祐希に演じさせたのは、意外性が減じて残念でもあり、薔薇に水をやるときに一瞬だけ邪悪な表情をうかべるあたり、説得力があっておみごとでもあった。うん、やっぱり天海祐希しかない(でも原作の特集でやったように、椎名林檎はありだよね)。

ガリレオXX「内海薫最後の事件」につづく

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ガリレオを全部観る19 「演技る(えんずる)」

2021-06-18 | テレビ番組

その18「偽装う(よそおう)」はこちら

女優のお話。演技がうまいと思い込んでいる女優を女優が演じる、という離れ技を蒼井優が絶妙に。

オープニングからして彼女と佐藤仁美のからみ。わたしは初主演の「バウンス ko GALS」以来の佐藤ファンなのでとてもうれしい。

衣装係である佐藤に劇団の代表(丸山智己)から電話が入る。しかし彼は何も言わずに電話を切った。不審に思い、代表のマンションを訪ねると、彼は刺殺されていた。部屋は密室。合鍵を持っていた(代表の愛人だとカミングアウトした)蒼井はしかし犯人ではありえない。なぜなら、代表からの電話のとき、彼女は佐藤とそのマンションから20分ほど離れた場所にいっしょにいたから……

携帯電話を使ったアリバイトリックはわたしでもすぐにわかった。わからないのは湯川の研究室の学生たちに

「理系くんに理系さん、もっと社会性を身につけなさい」

とえらそうに説教をたれる岸谷刑事だけである。しかし犯人は(犯行時にテレビを消すなどして)もうひとつのトリックを用意していて……

湯川はそんな犯人に、本心を隠しながら接触していく。演技合戦である。蒼井優はどんなときもICレコーダーを持ってあらゆる経験を記録していく。物理学者に追いつめられる経験にも恍惚としている(つまり、彼女は湯川の演技に気づいている)。

よく考えると彼女が用意したもうひとつのトリック(月はどっちに出ている)はずいぶんと危うい。少しでもタイミングがずれると成立しないのだ。

しかしラストで湯川は彼女に最大の侮蔑の言葉を投げつけ、自らのメソッド演技(演者が役に徹底的に近づく演技術)に酔う彼女を叩きのめす。ロバート・デ・ニーロやアル・パチーノはどう思うかなあ。

その20「攪乱す(みだす)」につづく

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ガリレオを全部観る18 「偽装う(よそおう)」

2021-06-16 | テレビ番組

その17「密室る(とじる)」はこちら

茨城県で学会に参加し、帰京する途中で寄り道をする湯川研究室ご一行。しかし万年助手の栗林(渡辺いっけい)の車がパンク。しかも雨が降ってきて……な展開は古畑任三郎の第一回と同じよう。

イメージとして横溝正史っぽいというか、TRICKっぽいというのが正直なところ。なにしろ、壁抜けできるカラス天狗の存在がキーになっているぐらいだから。にしても茨城帰りなのだからここはどこなんだろう。埼玉?千葉?あ、湯川に傘を貸してくれた香椎由宇が乗っているレクサス(伏線)は宇都宮ナンバーでした。

湯川が寄り道する気になったのは、院生の地元の神社には烏天狗のミイラがあるからだったが、なぜかミイラはコンクリートで塗りこめてしまっていた。しかも神主は白骨死体で発見され、コンクリートのなかにはミイラが存在しなかった。はたしてミイラはどのようにして壁を抜けたのか……

事件はそれだけではなく、香椎由宇の自宅で彼女の義父と母親の死体が発見される。義父は散弾銃で撃たれ、母親は絞殺されている。この不可解なふたつの事件に湯川が挑む。

警視庁の刑事である岸谷は東京を動けない(でも前回は山梨県の事件だったのに顔をつっこんだ)のでリモートで湯川に協力。

この、実は穴だらけの事件には見せかけの動機とほんとうの動機が存在する。湯川はその動機に納得したからこそある解決法を提示する。犯人が誰かに興味がない人間だからこそ思いついた提案。視聴者を納得させ得たかは微妙なところ。

母親役の宮田早苗(セリフはまったくありません。そりゃもうびっくりするぐらいに)のことがわたしはけっこう好きなので納得してしまいましたが(なんか脇役特集みたいになってきた)。

その19「演技る(えんじる)」につづく

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ガリレオを全部観る17 「密室る(とじる)」

2021-06-15 | テレビ番組

その16「念波る(おくる)」はこちら

タイトルからして堂々たる密室殺人……ではなくて、被害者の遺体は外にあり、特定の時間帯に密室が構成されているので自殺と判断されたというケース。

舞台は山梨県の山中。山歩きのイベントに参加した岸谷刑事。ペンションに泊まる女性たちに

「ご職業は?」

「公務員です……………………警察関係」

こういうためらいを全国の関係者は経験しているのかも。

参加者のひとりが渓流で見つかる。吊り橋から落下したものと思われた。自殺と判断されたが、岸谷だけは殺人を疑う。被害者の同僚である女性が小さな嘘をついていたからだ。

「野木さん(夏川結衣)は湯船につかったって言ってたんです。でもわたしが次に入ったら、肌に気泡が」

文系である岸谷が、たまたま過飽和現象(一番風呂に入った人しか発生しない)を知っていたために湯川が登場。密室を構成する、というよりも“密室だとどう思わせたか”がキーポイントとなる。ただし、あるトリックを使ったのはいいにしても、その痕跡をうまく消せたのかは微妙。

大企業の研究者として白衣を着た夏川結衣が魅力的。「結婚できない男」の女医役を想起させます。今回は努力型の女(夏川結衣)VS天才肌の女(被害者)VS美人じゃない女(岸谷)の相克。途中から邪悪な表情を隠さない夏川結衣は、あの「点と線」のラストで

「すみました」

と淡々と語るシーンも思い起こさせる。ただ、わたしは被害者役の遊井亮子のクールビューティな感じも捨てがたいんだけどなあ。

どんなタイアップだったかわからないけど、ミノッティのショールームにおいて、たいそうお高いテーブルに数式を書きだす湯川がおかしい。

その18「偽装う(よそおう)」につづく

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「俺の話は長い」(2019 日本テレビ)

2021-06-14 | テレビ番組

噂は聞いていたの。日テレで土曜の夜にやってるドラマはすごいと。妻も熱狂していたし、ちょっとのぞいて見たら確かに面白そう。でも、例によってドラマをワンクール見通す根性がないわたしはディスカス待ち。

で、拝見させていただきました。

噂以上にすごかった。ホームドラマ(死語?)ってここまで進化していたのか。主役は6年間ニートを続けている満、31才。働く気がないわけではないのだが、自分を肯定する理論武装は完璧。んもう屁理屈をこねさせたら天才。そしてもちろん、彼の話は長い。おそらくは感情移入するのがむずかしい役なのに、生田斗真が絶妙に演じるものだから、誰もが彼を好きになっていく。

そんな息子をどうあつかっていいか常にとまどっている母親に原田美枝子。デビュー作「恋は緑の風の中」や「大地の子守唄」そして「青春の殺人者」からつきあってきた世代なので彼女がいるだけで画面からありがた感が噴き出してます。

微妙なバランスの上に成り立っている二人暮らしの家に、マイホームを新築中の姉夫婦が同居することになった3カ月の物語。姪っ子は不登校だし、元バンドマンの義兄は教材販売の仕事が嫌で仕方がない。姉は年の離れた弟の現状を打破しようとさまざまな策を弄する……

小池栄子安田顕、そしていまや朝ドラヒロインの清原果耶も加えた5人が完璧なアンサンブル。わたしのお気に入りは行きつけのスナックの客である本多力。こんな役者いたんだあ。

特にすばらしかったのが、義兄も満とともにニートになり、ふたりで絶唱した「出世払いの歌」。爆笑しながら、涙がこぼれてきました。

そして最終回、背広姿の満に……この展開って「あまちゃん」で宮本信子が大漁旗を振ったシーンの再来。泣けた泣けた。脚本は金子茂樹。ええ承知していますよ。絶賛オンエア中の彼の「コントが始まる」もすごいんでしょ?はやくディスカスしてくれないかなあ。向田邦子賞受賞作品。

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ガリレオを全部観る16 「念波る(おくる)」

2021-06-11 | テレビ番組

その15「曲球る」はこちら

同じ顔をしたふたりの女性(桐谷美玲)が同時進行で描かれる。一方は瀟洒な邸宅でくつろぎ、もう一方は地味な服装でかいがいしく働いている。都会に住む“彼女”の方に侵入者。頭部をハンマーで殴り、彼女は昏倒する。普通の、強盗傷害事件のはずだった。しかし遠く離れたもうひとりの“彼女”がその事件を察知するまでは。

ふたりは双子。古畑任三郎の「ラストダンス」のときに紹介したように、ミステリには双子と中国人は登場させてはいけないことになっている。そのタブーに挑戦。はたして双子の間で、テレパシーは存在するのか。

「シンクロニシティ(意味ある偶然)にすぎない」と湯川は一刀両断。

「でも妹さんは犯人の顔が見えた、っていうんですよ」と岸谷刑事。

「それを早く言え」

昏睡状態の妻に向かって、経営コンサルタントを生業とする夫(桐谷健太)が

「なんで生きてるんだよぉ」

と吐き捨てる。犯人はもちろん妻の財産目当ての彼だが、ちゃんとアリバイは用意してある。報酬を払った委託殺人だったのである。

にしてもこの夫のやることは(指紋を気にもせずに人工呼吸器に触れるなど)およそ頭のいい人間のやることではない。そこで湯川は、いつもと推理の過程を逆に……

知り合いの殺人ではないかとたくさんの写真を見せて失敗。そこで妹に似顔絵を描かせることに。早く気づけよ。しかし彼女の絵はおそろしく稚拙だったというオチ。

「こんな人間、います?」

実行犯は渋川清彦。似顔絵そっくり(笑)。彼がその後、性格俳優としてどんどん成長したのに比べ、美少女だった桐谷美玲はすっかり名前を聞くこともなくなった。わからないものだ。

その17「密室る(とじる)」につづく

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ガリレオを全部観る 15「曲球る(まがる)」

2021-06-07 | テレビ番組

その14「心聴る(きこえる)」はこちら

オープニングから古田敦也登場。アースリーズの元エース、柳沢(田辺誠一)の球を受けている。かつては光り輝いていた彼は戦力外勧告を受け、練習パートナーとして古田を雇って復活をめざしていた。物理学者、湯川の協力を得て。

柳沢は妻と別居中で、実家で仮眠していた彼女は物置に保管していたストーブが出火したために一酸化炭素中毒で死亡する。はたして、遠隔操作でストーブに点火することはできるのか……

「あなたのスライダーがプロで通用しなくなった原因を物理学的に検証しましょう」

湯川に気を使った表現を期待するほうが無理。しかし、物理学的に復活しているはずのボールは、物理学とは遠い“メンタル”が理由で“冴えない”。そのため、心ならずも(かどうかはうかがい知れないが)湯川は柳沢の妻の不倫疑惑に挑むことになる。

「物理学者に、不倫相手を見つけ出すことなんてできるの?」

できますよ岸谷刑事。これ、ドラマですから。実は今回はオー・ヘンリーの短編のようなお話なのでした。タイトルをつけるとすれば「愚者の贈り物」。やっぱり時計がキーポイント。

せっかく古田まで起用したのだから、柳沢の役も現役の投手を抜擢する手はなかったか。無理か。古畑任三郎のイチローのような演技レベルの選手、そうはいないもんな。

柳沢夫人を演じたのは青森放送のアナウンサーだった中田有紀。とても魅力的です。青森つながりなのかアジアン・カンフー・ジェネレーションのベーシストと結婚しているんですって。ラルク・アン・シエルのhydeと大石恵のパターンですか。ちなみに、あの二人が初対面だった「うたばん」をわたし見てます。すいませんよけいな情報でした。

あ、それから東京都では賃貸住宅では石油ストーブの使用は禁じられているそうです。有益な情報でした。

その16「念波る」につづく

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ガリレオを全部観る 14「心聴る(きこえる)」

2021-06-05 | テレビ番組

その13「指標す(しめす)」はこちら

岸谷刑事(吉高由里子)は、帝都大なぎなた部の先輩である冴子の告別式に参列している。新興IT企業につとめる冴子は、社長との不倫の果てに自殺したと噂されていた。その社長はいきなり耳をふさいで叫びだし、会場を飛び出す。彼は翌日、遺体となって発見される。覚悟の自殺と思われた。

彼の会社は、社員が決まった机に座らないフリーアドレスを導入している。そして、特定の社員に聞こえてくる声「次はお前だ」と。冴子の呪いなのか。錯乱した社員はその場にいた岸谷にカッターナイフで切りつけ……

お尻を二針縫った岸谷のお見舞いに、湯川がを持ってくるあたりが可笑しい。

今回の事件は、他の人にはまったく聞こえない音を、特定の誰かに(耳をふさいでも)聞かせる方法とは、というものだ。

誰でも想像するのは超指向性スピーカーだけれど、単なる音では耳をふさげば防ぐことができる。そこで湯川は……

映像化の強みは、無響室に実際に湯川と岸谷を訪れさせ、それ風の音響になるのを再現できること。映像としても強烈です無響室。

冒頭の告別式で、受付をしているのが大島優子松尾諭(「シン・ゴジラ」での彼はよかったなあ)。犯人は最初からまるわかり(笑)。しかしそこからどうひねるか。

湯川も岸谷も、恋愛についてはさっぱりわからない状態にあるあたり、ラブコメとして実は王道をこのドラマは歩んでいます。にしても、底意地の悪い先輩を演じたのが、あの傑作「駆込み女と駆出し男」で原田真人監督を魅了した(でしょ?)陽月華だったとはっ!

その15「曲球る(まがる)」につづく

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ガリレオを全部観る 13 「指標す(しめす)」

2021-06-04 | テレビ番組

その12「幻惑す(まどわす)」はこちら

ものすごく長い間このシリーズをお休みしてました。一度始めたネタは必ず最後までやると大言したわりに、なんでだっけ。どうやら新シリーズと新作映画も動き出したようなので再開します。みんなもう忘れてるだろうなあ。

今回の眼目はダウジング。金属の棒とかを握り、その反応で水源を探し出すというあれです。湯川教授(福山雅治)は肯定も否定もしない。科学的に立証はされないけれども、ダウジングによって水が見つかっているのも確かなのだ。実はわたしも昔つとめていた学校で水道の修理を依頼したら、その業者がいきなりダウジングを始めたのでびっくり。ま、なんの意味もなかったですけれども。

親切な、そして実は金満家のおばあさんが惨殺され、飼い犬が消えている。岸谷刑事(吉高由里子)は例によって湯川に協力を求める。犬の死骸を見つけたのは近所の女子高生であり、彼女は水晶の振り子の示す場所で見つけたと。

科学者である湯川はあらゆることを想定する。風は?異臭は?電線はなかったか?……すべて否定される。

この犯罪のキモは、なぜ犯人は犬の死骸をわざわざ運んで捨てたかだ。そして、女子高生の水晶は本当に謎に答えたのか?

今でもやっている子はいるのかな、こっくりさん。なぜこっくりさんは字を指し示すのかが理系ミステリとして面白いところ。

ドラマとしてみごとなのは、女子高生は水晶に、犬の死骸のありかを訊いていたわけではないあたり。ここはうなりました。

女子高生を演じたのは、「麒麟が来る」で織田信長を手玉にとった帰蝶を演じた川口春奈だったのでびっくり。久しぶりに見ると、実に面白い。

その14「心聴る(きこえる)」につづく

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