「生まれ来る子供たちのために」
作詞 小田 和正
多くの過ちを僕もしたように
愛するこの国も戻れない もう戻れない
あのひとがそのたびに許してきたように
僕はこの国の明日をまた想う
ひろい空よ僕らは今どこにいる
頼るもの何もない
あの頃へ帰りたい
ひろい空よ僕らは今どこにいる
生まれ来る子供たちのために何を語ろう…
何を語ろう
君よ愛するひとを守り給え
大きく手を拡げて
子供たちを抱き給え
ひとりまたひとり 友は集まるだろう
ひとりまたひとり ひとりまたひとり
真白な帆を上げて
旅立つ船に乗り
力の続くかぎり
ふたりでも漕いでゆく
その力を与え給え
勇気を与え給え
1980.3.5リリース
……資本主義の極北マクドナルドでバイトしながらも、非武装中立論に傾倒していた左翼少年にとって、この“愛国歌”は許し難かった。
「あのひと」がそのまま天皇を表すととるほど意地悪な観方はしないが、「頼るもの何もない あの頃にかえりたい」が安保反対をシンボライズしているととるほどお人好しでもないのだ。
「愛を止めないで」や「さよなら」の直後にリリースされたにもかかわらず、この曲はヒットしなかったので誰も問題にもしなかったのだろうが、私はひとり不愉快な気持ちを捨てられずにいた。
しかし今考えれば、劇団四季の浅利慶太の口車にのり、中曽根戦後最低宰相に擦り寄って行った、さだ(防人の詩)まさしや谷村(昴…あれが軍歌でなくてなんだ?)新司に比べれば、小田はまだマシとも言えるが。でも、昔は第一生命のCMソング(「僕の贈りもの」)をやっていたくせに、今は明治生命のために「言葉にできない」を絶唱する彼を見ていると、ま・何にも考えていないのかな、という気もする。以下次号。